ライオンの婚約者 (ページ27)

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Aの母もその事を十分理解していた

だが、恋に落ちてしまえばそんなこと忘れてしまった

本来なら精霊王となるべきお方が、人間に姿を見せてしまうなどあってはならない。ましてや恋など禁忌だ

結果母は精霊の里を追放されてしまった

……これが母の計画だとも知らずに。

いくら罪を犯したとしても、時期精霊王には誰も敵わない。逆に自分たちが殺される

それなら追放してしまった方が簡単だ。精霊は長時間人間の世界にい続けたら死んでしまうから

追放された母は自分が持っている全ての魔力を使って、精霊から人間に変わり、Aの父と共に歩んだ

「大臣たちもアホだよなぁ。Aの母君がそう簡単に死ぬはずねぇのに

追放した方が逆に一騒ぎだろ」

『母は昔から周りを手の上で転がすのが大好きだからねぇ。精霊の中で、未だに母を支持しているものは多い』

「……それよりもシルクが精霊王にならねぇとこっちが困る」

『その通り。わざわざ法律を改正してまでシルクを学園に通わせてるんですから』

シルクと出会ったのはディアンが11、Aが10の時

精霊王に仕える精霊達に導かれ、Aとディアンはシルクのお目付け役となった

それはなぜか。

いくら母が人間となったからといって、Aにも精霊の血は半分流れている。

ディアンは元々ハミィ一族に仕える家元だ。Aに仕えている彼も必然的にシルクのお目付け役となる

これ以上の理由はないだろう

『シルクには悪いけど、何がなんでも精霊王になってもらうしかない』

これだけは決して譲れない