ライオンの婚約者 (ページ24)

今日:68 hit、昨日:37 hit、合計:23,665 hit

24 ページ24

長時間箒で飛び、平野に到着した

『……さてと、どこにいるかな……』

周りを見渡せば、一人の人影が見えた

その人影は綺麗な朝日が見えて嬉しいのか、何やら踊っている

「ここまでならディアンは来ないでしょ！僕って頭良い！」

『失礼ですが、あなたは馬鹿ですよ』

「うわぁぁあ！！」

シルクはAの姿にびっくりして、尻もちをつく

「ど、どうしてここに！？」

『ディアンが教えてくれたの』

「くぅっー！ディアンのやつー！！」

『なぜこんなところまで来て朝日を…』

「だって地平線から出てくる朝日が見たかったんだもん！」

『なんつーわがまま…』

Aはシルクの隣に座り、同じく朝日を見る

「というか良くわかったね」

『ここには前から来てますから』

「……レオナと？」

『えぇ。二人して城を抜け出して、ここに来てた。初めて朝日が綺麗だと思えた日です』

「ふぅーん」

シルクは面白くないのか素っ気ない態度を取る

「Aはさ、幸せ？」

『……急になんでそんな事聞くんですか』

「僕はね、幸せじゃないんだ」

『幸せじゃないのなら幸せになればいい』

「そんな簡単に言わないでよ」

『簡単に言いますよ

だって、幸せは突然に現れますから』

思い浮かべるのは婚約者の彼

白黒だった世界が急に色づけられたように変わった

彼に出会えてよかったと心から思う

「……僕は幸せにはなれないよ」

『今は？』

「今？」

『学園でも幸せにはなれない？楽しくない？』

「そんなことない！

逆に面白い！人って本当に面白いの！」

『それでいいんだよ』

Aは笑って、立ち上がる

『帰りますよ』

「ちぇー。わかったよ」