太宰幹部、好きです ２【文スト】

固まる空気 ページ5

Aside





ｶﾗﾝｶﾗﾝ




太宰幹部が居るであろうルパンの店内へ、恐る恐る足を踏み入れる




手前の織田さんの体からひょっこり顔を出したのは、包帯だらけの太宰幹部






彼と私の目がぱっちり合ってしまい、私は目をすぐに逸らした



すると太宰幹部は身を乗り出して私の手首を掴み、自身の胸へ引き寄せた







｢…ちゃんとこっち向いて、Aちゃん｣


『…っ、はいっ』







腰は彼の手で固定され、後頭部は確り顔を上へ上げるようこちらも手で固定された




思わず吸い込まれてしまうような彼の紅い瞳と見つめあっていると、後頭部にあった手が離れ、私の唇に綺麗な人差し指が添えられた








｢…選んで｣


『え？』



｢私にイイコトされるか、中也の方へ行くか｣







太宰幹部、いや太宰さんが言っていることは、この三角関係を断って両者どちらかを選択しろっていうこと…？




脳内で太宰さんと中也さんの顔が再生される中、口を開いて出た言葉は__________









｢太宰、先に帰っていいか？明日、用があったのを忘れていた｣





私が喋るよりも早く、織田さんが席を立ち太宰さんに話しかけた




一瞬、その場の空気が固まる







え、織田さん、空気というものを知りませんか？いや、その物理的ではなくてですね



最早ツッコミをすることも忘れ、再度口を動かし出てきたのは、









『あははっ！織田さん、面白いですね！』


｢ははっ、同感するよ。本当に織田作は面白い。いいよ、じゃあまた明日｣





私と太宰さんの笑い声が店内を飾る



織田さんはちょっとの間不思議そうな顔をしたが、すぐに別れの挨拶を告げて店から去っていった






私達の間にあった空気が、少し和んだ気がした

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