太宰幹部、好きです ２【文スト】

上の空 ページ2

Aside




''…私のこと、嫌いかい…？''



''…私のこと、好きですか…？''







『はぁ…』






5時間前のあの会話がさっきからずっと脳内で再生され、目の前の仕事に手が付かなくなる




減らない書類。増えるのは溜息ばかり






結局あの後本当に5時間尋問され、それが終わった後私は無言でこの補佐室に戻ってきた







あぁ…もう…どんな顔して太宰幹部に会えばいいか分からないよ…




それに、なんであの時私はドキドキしたのか未だに分からない







こんな自分、やだな






そんな自己嫌悪に陥っていると、コンコンと、扉を叩く音がした




どうぞ、と私が返事をすると同時に入ってきたのはお兄ちゃんだった







『お兄ちゃん？どうしたの？』



｢お前、俺が朝言った意味分かったか？｣


『あ…うん』





あの最中の箱と共に言い渡された言葉を思い返す


哀れみって、この事だったんだ






｢で、俺が来たのはお前が提出するはずの書類が遅すぎるからだ｣



『あっ…』






目線を下に下げる。机の上の大量の書類の存在感がさっきよりも大きいのは気のせいかな




私の様子を見て全てを察したお兄ちゃんは頭を抱える






｢太宰もお前も上の空、か。中也は太宰を見てからやけに上機嫌だったけどな｣



『…っ』






酷い



たった3文字の言葉。けれどもこんな事態を招いたのは私




1番酷いのは私






｢まぁ、俺はお前の関係については一切手出しはしないが…もし太宰に泣かされたなら俺の所に来い｣


『お兄ちゃん…！ありがとう』






顔を勢いよく上げる




お兄ちゃんの優しさに、思わず涙が出そうになるのを必死に堪える




するとお兄ちゃんは私の顔を見て、フッ微笑む



そして扉に手をかけ、この部屋を出ていこうとした時、少し間を開けて私に振り向いた







｢ーーーーーーなぁ、｣


『？』







｢ーーーーーミミックって、知ってるか？｣

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