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翔くんが考えていることはおそらく私と同じで、だからこそちゃんと翔くんに届くように今の私の想いを伝えておきたかった。
「だからこのままじゃだめなの。仲直りする方法を探さなきゃ。……私はそう思うの」
「……うん」
翔くんは柔らかな笑みを口元に浮かべて頷いた。
「そう言ってくれると思ってた。Aさんが和くんの恋人で……智くんが奪ってきた人で、本当に良かったよ。貴女なら二人を助けてくれる。おれは、そう思うよ」
にこりと小首をかしげた翔くんに私は照れるしかない。
私は翔くんにそう思ってもらえるような人間ではないと思うけど、それでも社長を助けられるかもしれないならできることはしたい。
「潤、潤も午後は休みだよね」
「ああ。……おいまさか翔」
「善は急げだよ。それにちょうどいいじゃん。Aさん、今日は一日お仕事お休みでしょ？」
「うん、お休みだけど……」
「じゃあおれと一緒にお母様に会いに行かない？」
「お母様……？」
って、翔くんの？
私の心の声が聞こえているみたいに翔くんはこくんと頷いた。
「うん、おれの家に行こう。あのね、二人に血のつながりがないって知ってる？」
「それは前に社長から聞いたことある」
「じゃあ話は早いや。詳しいことは車で説明するけど、智くんが家を出たのはお母様がSAKIEを実子である智くんじゃなくて血のつながらない和くんに継がせるって決めたからなんだ。だけどお母様、よくおれに言ってたんだよ。智くんには自由に生きてもらいたいって」
「自由に……」
オウム返しをした私に翔くんはソファからパッと立ち上がると言った。
「つまりね……お母様に聞きに行こうよ。直接聞いてみたら、何かわかるかもしれないよ」
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作者名：iCHiKA
| 作成日時：2021年3月29日 22時
