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名作「ーーえっ?」
驚くのも無理はないだろう。さっきまで人間だったクラスメイトが、頭だけ吸血鬼になっているのだから。
私は、見られてしまったというショックと、盗み聞きしていたことがバレた恥ずかしさで、全身吸血鬼になると、目にも留まらぬ速さで窓から飛び出してしまった。その行動には、幸運なことと不運なことがあった。
幸運なことは、保健室が校舎の片隅にあって、しかも今が授業中であったことから、私の姿は名作たち以外の人間の目につかなかったことだ。
不運なことは、
さんさんと陽が照っていたことだ。
「ああああゔぁああアアあああぁぁゔぁあああーーーー!!」
からだが燃える。燃えては回復し、燃えては回復しを繰り返す。確か、こういう地獄があったなと思いながら、私の体は燃え続ける。
(もう、このまま死んでしまうのか・・・)
と、私の意識が切れかけたその時、
名作「べにっっ!」
と声がして、名作が飛び出てきた。名作は私の体を掴み、必死で引きずる。それを見た4人も、名作を手伝って私を引っ張ってくれる。そして、何とか校舎の影に入り、私は助かった。
かなり酷い怪我を負ってしまって、話すのも途切れ途切れだ。
名作「危なかった・・・。べに、ごめんね、僕達のせいで・・・。」
べに「貴方たちの、せいじゃ、ない・・・!」
べに「私が、迷惑を、かけてしまう、から、こんなに、転校を、繰り返す」
名作「じゃあ、ボルトの言っていた通りなんだね。」
べに(こくり)
べに「だから、もう、親にも、皆にも、迷惑を、かけたく、ないの・・・!」
名作「大丈夫!僕たち、べにの正体は誰にも言わないから!」
べに「え・・・?内緒にして、くれるの・・・?」
名作「もちろん!だって、僕たち、べにと一緒にいたいから。吸血鬼でも人間でも、べにはべにだよ。だから、これからもよろしくね、べに!」
その時、私の目からは、とめどなく涙が溢れた・・・・。
そんな私が、「部」の6人目の部員になるのは、また別のお話・・・。
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作者名:Suzu x他1人 | 作成日時:2022年6月4日 12時