File99 辻村勲 ページ10
【〜SIDE NO〜】
「どうじゃ、すごいじゃろ」
「ほ──大したモノですな──」
その頃、公江の義父の利光は執事の小池に釣った魚を見せびらかしていた。公江は後で来ると言っていたが。
「なんだ、ジイも来てたのか」
「おお! みんなにこれを見せようと思ってな! ところで公江さんが連れてたあの連中は何者じゃ?」
「古い友人の毛利さんと仰ってましたが……」
「毛利……? あいつ、探偵だ! 探偵の毛利小五郎だぜ!」
「何!?」
「た、探偵がどうしてここに……」
その様子を、盗聴器で聞いていた者がいた。琳佳は利光とすれ違った時に生物学的に開発された三時間盗聴器だ。
【〜SIDE 神薙琳佳〜】
「貴方! いらっしゃいましたよ! 貴方? 変ね──……。いないのかしら?」
奥さんは痺れを切らしたのか、中々出て来ない旦那さんの部屋を鍵で開けた。合鍵持ってたなら最初からそれで開けてよね……。
「なんだいるじゃないの……全くステレオ付けっぱなしで、こんな所でうたた寝して……」
部屋の中はステレオから音楽が流れていて、旦那さんは本を積み上げて机でうたた寝をしていた。
「オペラか……」
「ええ。優雅な曲ね……私はG線上のアリアの方が好み……ピアノソナタ『月光』も好きだけど……」
「琳佳、姉ちゃん?」
「ねぇボウヤ」
「ん?」
「あの事件で……推理で人を問い詰めて殺したら、それは殺人と同じ。私も未熟な部分が有った。気付かせてくれたのは貴方よ、ボウヤ。礼を言うわ」
「え……っと、うん」
「ちょっと貴方、起きてくださいよ! 貴方! あな……」
ドサッ……そう音がした所を見ると、そこには椅子に座った格好のまま、床に落ちている旦那さん……辻村勲さんがいた。
「あ、貴方!? 貴方! しっかりして! 貴方!? あな……」
辻村勲さんに すぐさま駆け寄る私、服部君、ボウヤの三人。服部君は辻村勲さんの首に手を当てていた。
「あかん……」
「もう死んでるわ……」
「そ、そんな……」
「お、奥様どうかなさいましたかっ……」
「お、親父……」
「入らないで! 入った者がいれば、すぐさま血が出る事になるわよ……」
腰に付けていた拳銃を執事達に構えてニヤッと笑えば、四人からどよめきの声が上がった。
「お、おい!?」
「け、拳銃って銃刀法違反やぞ!」
「私にとっての法は破るためにあるのよ。何? 撃たれたい?」
「琳佳さん……?」
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うたプリ大好き?(プロフ) - 続き気になっています!更新停止状態のままですが更新はされるのでしょうか? (2020年3月4日 1時) (レス) id: 48370e286a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:櫻咲翼遥 | 作成日時:2017年1月5日 10時