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File54 ホットな話題 ページ10

「候補者は三人! 今通った漁民代表の清水正人さん……。最近評判を下げてる現村長の黒岩辰次さん! そして島一番の資産家、川島英夫さん……」


今この島では村長選の話はホットな話題のようね。清水正人、黒岩辰次、川島英夫……か。この三人の事も調べる価値はありそう。


「ウチの患者さんの話だと、どうやら川島さんに決まりそうだと……」

「いや看護師さん、別に私達、村長選に興味は……」

「毛利探偵、その人女医ですよ」

「分かったの? なんで?」

「医師ならともかく、看護師は外に出ないわよ。この島はあまり面積が広いとは言えない。診療所に看護師がいるという確率はそんなに高くないわ」

「なるほど! 貴女も探偵なの? あ、私は医師の浅井成実! ちゃんと医師免許持ってます!」

「あ、ドクターでしたか……」


看護師扱いされるのは慣れてるのね、この人。でもこのくらいなら普通の人でも分かると思うけど。


「貴方達、公民館に行くんなら、今言った三人にも会えちゃうわね!」

「どういう意味かしら?」

「だってそこで今夜、前の村長の亀山勇さんの三回忌の法事をやるんですから……」

「前の村長の、三回忌?」


『亀山勇』……この人も何かありそうね。ったく、月影島という名前からして怪しすぎよ、この島。面倒くさい事に巻き込まれたわね。



【〜SIDE NO〜】

「現村長の横暴を許すな!」

「農地返せ!」

「漁場を汚すな!」


現村長の『黒岩辰次』に対する島民の怒りは、留まる所を知らなかった。月影島公民館の一室からは、そんな農民の暴走を苦々しげに見つめている人物がいた。もちろんそれは禿頭の男、黒岩村長である。


「全く……今夜前の村長の三回忌だというのに……。無礼な奴等だ……」


黒岩村長が呟くと、後ろから一人娘の『黒岩令子』が現れた。


「本当にうるさい連中だ事……」


令子は顔にかかるウェーブを手で払う。その仕草はなんとも上品である。だがその振る舞いは、全く我が儘であった。


「平田! 何をしているの! あの者どもを黙らせなさい!」

「は、はい。お嬢様……」


平田と呼ばれた男は気弱そうで、メガネを掛けている。平田秘書が部屋を出て行くと、入れ替わりに色黒長身の男が出て来た。


「おいおい、大丈夫かぁ?」

「しゅ、周一…… 」


令子をからかうようにして部屋に入って来たのは、令子の婚約者である『村沢周一』。村沢は言葉とは裏腹にこの状況を頼んでいるように見える。

File55 ホコリだらけのピアノ→←File53 月影島診療所



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作者名:櫻咲翼遥 | 作成日時:2016年12月18日 15時

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