File76 帰って来た女戦士 ページ33
ピアノの部屋に入ると、ピアノ横でシルエットが何かをやっていた。声を上げるとガラスを破って飛び出す！
「ヤロォ！ む、村沢さん……？」
「う……ぐ……」
村沢さんの状態を確かめていると、少し離れた所から蘭の「きゃあぁぁぁ！」という悲鳴が聞こえて来た。蘭に何かあったのか!? あのお巡りさんと……倉庫か!?
「あ……あ……」
倉庫には……首を吊らされた西本さんがいた──。天井から紐で吊るされて、死んでいる西本さんが……。
「に、西本さん……。お巡りさん！ 早く警部達に連絡を！」
「わ、分かった！」
カチッ……。ん？ カセットテープレコーダー！ 今のはこれが止まった音か！ 入ってるのは六十分テープ！ 片方三十分だから、西本さんが死んだのは今から三十分以内……十時半から十一時の間って事か……。
「ふ、譜面……」
「え？」
「ホラ、西本さんの足元また暗号の譜面が！」
また譜面かよ……！ 今回書いてあるのは……ISHOだから……。
「今度は一体なんて……」
「……いし」
「ISHO……遺書よ」
「い、遺書!?」
「それよりも……誰！？」
「あら、分からない？ 私よ私、琳佳」
琳佳さん!? こんなグッドタイミングで戻って来るなんて……！
「琳佳さん……一体今までどこで何を!?」
「ちょっと色々、ね。企業秘密。西本さんは自 殺じゃないんじゃないかしら。首を吊ろうとするならすぐ近くに台が無いと一人では出来ないから」
「確かに……」
【〜SIDE 神薙琳佳〜】
「自 殺ですか……」
「ああ……遺書によると、川島氏と黒岩氏を殺した事を悔いて、自決したそうだ……」
「こ、この西本が二人を!?」
二人を殺した動機は昔自分達が犯した過ちをバラされたく無かったから。『亀山勇』や『麻生圭二』、今回殺された『黒岩辰次』と『川島英夫』も入る……。この暗号で何かやっていたとして……昔の秘密がバレるのを恐れて、その証拠である楽譜を隠滅するために倉庫に侵入した。しかし見つからず、精神的に追い詰められたため自 殺……。あまりにも都合が良すぎるわ。
「そんなの都合良すぎるって事も分かんないの？ 今も昔も警察は役立たずね？」
「なん……琳佳君！」
「久しぶりねぇ、目暮警部？ なもう二度と会いたくなん無かったけど」
「すまん……。それより、森に探しに入った警官を武道で倒したのは君かね？」
「心にも無い謝罪なんて聞き飽きたわ。ああ、気に食わ無かったから倒したわよ」
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作者名：櫻咲翼遥 | 作成日時：2016年12月18日 15時
