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File69 おかしな譜面 ページ25

「それより誰ですか? 遺体を勝手に動かしたのは?」

「ああ……ワシじゃ。あんなカッコじゃ仏さんかわいそーじゃったからの」

「困るんですよ。まだ正式な現場検証も済んで無いのに……」


このお爺さん、とんだ素人ね。警察の心得も知らないのかしら? あ、日本警察は所詮こんなもんだったか。


「あれ……あの譜面が無くなってるよ!」

「何!? あれは現場に残された重要な手掛かり……一体誰が!?」

「ああ……それもワシじゃ。 無くならんようにと思ってホレ!」

「(このジジィ……)」


この人本当に警察!? 怪しすぎんのよ! 素人以下のド素人じゃない!


「あら……これ『月光』の譜面よ……」

「げ、『月光』の!?」

「そうよ、ホラ……」


譜面がピアノソナタ第十四番『月光』という事はただの偶然じゃないはず。何かある。何か……。


蘭ちゃんがピアノを弾き初めて少したった時、突然おかしな音がした。ピン! ダン! などと奇怪な音をたてているピアノ。


「何やってんだヘタクソ……」

「違うよ! この四段目の譜面が変なのよ!」
「四段目……」

「確かに蘭ちゃんが有ってるわ。この小節おかしいもの」


私ももう一回弾くが、ピン! ダン! と音がズレた。


「もしかしてこの譜面は……川島さんが死ぬ間際に残した、ダイイングメッセージ……」

「とすると、この後犯人が取り返しに来る可能性も……」

「まぁ、その人物を尋問すれば良いでしょう」
「ここ日本なんだけど、琳佳さん」

「んなの知ったもんですか」


ボウヤと話していると、この部屋に入って来そうな感じで扉がギッ……と開いた。開けられて行く扉。毛利探偵達は硬直したまま立ち尽くしている。


「あの──旅館に電話したらこちらだと聞いたんですけど……」

「な、成実先生!?」

「お夜食持って来たんですけど……お邪魔でした?」

「そ、そういえば……」

「ハラが……」



「成実先生ってこの島の人じゃないんだー……」

「ええ……週末には両親のいる東京に帰っちゃう、バイトの医者のようなものです……。私前から憧れてたんです……自然に囲まれた小さな島で医者をやるのが……。だからこの島に来たんです!」

「成実先生の両親は浅井姓?」

「そ、そうだけど……どうして?」


『麻生圭二』の息子『アソウセイジ』。『浅井成実』の『成実』の部分は『セイジ』とも読めなくは無い。まぁでも成実先生は女だったわね。

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作者名:櫻咲翼遥 | 作成日時:2016年12月18日 15時

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