【Detective Conan】真実と虚偽に支配された異邦人の戦慄《Part.2》 (ページ15)

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File59　利害関係ページ15

「琳佳さん……？」

琳佳さんの傍に言って話し掛けても、全く反応しない。いつものクールで自由気ままな琳佳さんはそこにはいないかのようだった。

「どうし……」

砂浜に一人立っている琳佳さん。琳佳さんの目元には淡い涙が溜まっている。青く見えるほど澄んだ琳佳さんの瞳。いつもは日本人と掛け離れたグレーの瞳が、今は青く見えた。その瞳はどこかな悲しな光を瞬かせている。その瞳は寂しいと訴えている。未だに本性が分からない彼女の、素がそこに出ているかのようだった。

あの組織に所属している以外、何をしているのかも分からない。家族構成も、性格もイマイチ掴めない。どうしてあんなに截拳道(ジークンドー)が強いのか、バイクのドライビングテクニックがすごい事もそうだ。常人離れした洞察力に観察力、推理力。前にも言った通り、只者じゃない。その道のプロ級の腕だ。その上、服の上からでも微かに分かる、ホルスター。拳銃を持っているという事だ。リュックの中に薬莢も入っていた。

「何か言いたい事が有るのかしら？」

「琳佳さん……もし何かあるなら、俺に言ってくれねぇか？俺、少しでも琳佳さんの助けに……」

「高校生のガキに話す義理なんか無い」

「んだと！？ガキにしたのはテメーらだろ！？」

「高校生の分際で、大人の助けになれるとでも思ってるわけ？探偵の定理すら分かって無いお子様に、分かってもらいたいなんて思わないわよ。日本警察の救世主とかチヤホヤされてるけどね、それは日本警察が無能だからでしょう？合衆国に行けば通じなくなるわ」

俺はただ……。すこしでも助けになれたらって思っただけ……。探偵の定理を分かって無かったのは反省してる……けど……。

「私は助けてなんて頼んで無いわ。……工藤新一君、世の中にはね、知らなくて良い事もあるのよ。貴方は当たり前のように毎日を過ごして行けばいい。私は貴方をこんな身体にしてしまった奴等の仲間として、貴方を支えるだけ。貴方は私の洞察力や観察力、推理力を利用するだけ。所詮、人間なんて利害関係でしか無いのよ」

「琳佳……さん……」

「愛情も友情も、人間の繋がりは全て利害関係でしか無い。私は貴方を利用している。退屈な毎日の刺激としてね。貴方もトコトン私を利用したら良い。分かったなら、さっさとこの事件の推理に時間を費やしたら」

そうは言ってるけど、琳佳さんの後ろ姿が求めているのはもっと違うもののように感じた。