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第7話 重なる面影 ページ8

その言葉と共に出て来た人物、それは──青宮星。一年前、Sirius's graveyard(シリウスの墓場)で死に、死亡確認もされたはずの星君。


「な、んで……!?」

「長い間心配掛けてごめん。実は僕、あの時助かって……」

「星君なの……? 死んで、無かったんだ……」


生きていた。生きていてくれた。死んで、無かった……。私が彼を、殺したはずなのに。

生きていてくれたという安堵の気持ちと、殺してしまったという後悔の気持ちが会い回って、頭を支配する。私はシリウスを助けられ無かった。

────見殺しにした。

心の中で妖しげに笑う誰かにごめんなさい、助けられなくてごめんなさい……。そう何度も心の中で謝る。謝っても謝ってもただ笑うだけ。モザイクが掛かったように顔の見れないその人。その人は……星君なの……?


『君が悪いんだよ。君がその能力で僕とウラノスの秘密を握ってしまったんだから』

『君は僕の物。メランジュなんかに渡しはしない。君は僕に従っていれば良いんだよ』


「ごめんなさい……!」

「ル、ルナちゃん!?」


どうしようも無く怖くなって、思わずその場を飛び出した。目の前にいて、苦しげな顔をしている星君。滴り落ちる血が、彼を瀕死の状態だと告げている。私は結局、彼を殺す事しか出来なかった。彼は私を何度も助けてくれたのに……!

あぁまた、待ってる。一日中手枷と足枷を付けられる生活を……。誰か、ねぇお願いだから私を──助けて。


『この世に奴 隷と死体ほど美しい物は無い。なぜなら、奴 隷と死体は文句を言わないから』

『君は必要無い、いらない人間。君がいても迷惑が掛かるだけ。まぁ僕のオモチャとしては最高級品だけどね』


「おい」

「だ、れ……?」


さっき案内して貰ったサイドスペースに走る。途中で疲れて、壁に手を付きながら方を上下させた。息が苦しい。


「どうした? 取り乱して」

「なんでも、無いです……」

「何も無いなら、涙は出ない。何かあったのか?」

「いえ……ごめんなさい」

「どういう意味だ」

「本当になんでもありませんから! ……ごめんなさい」

「お、おい神咲! 待て!」


如月さん、ごめんなさい。如月さんは何も悪く無い。けど……ロウ君があの人に重なる。なんでなのかわからない。私には闇組織を抜け出してもあの人がいる。あの人からは逃げられない。そう、分かっているのに。





【重なる面影】
(重なっている面影なら)
(いっその事すべて忘れてしまえ)

第8話 泣けない涙→←第6話 死んだはずの大犬座



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作者名:櫻咲翼遥 | 作成日時:2016年12月25日 18時

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