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第14話 マルス港倉庫での対戦 ページ16

私は狙撃手(スナイパー)を探す事より、声をあげることを先にした。


「如月さん! 逃げてっ!」

「神咲! お前だ!」


しかし……狙われていたのは私だった……。その事に気付いた時、時既に遅し。シュン! とサイレンサーの音が響く。幾つもの弾丸が辺りを飛び回り、応戦状態になった。


「神咲っ!」

「カイリ! そいつに気を付けろ!」

「レグルス、奴が先だい!」

「もちろん!」


一際大きな銃声が響き、私の視界は真っ暗になった。黒に包まれ、身動きが出来なくなった。誰、誰なの!?


「動くな」


視界が覆われているせいで状況が把握出来ない。ファンタジスタなのかレグルスなのか、はたまた如月さんなのかカイユさんなのか。ロウ君は有り得ない。ロウ君なら「動くな」とは言わない。なら、誰……?


「カイユ! ファンタジスタが先……」

「いや」


その声を最後に、銃声も含め、声一つしなくなった。如月さんが「カイユ!」と叫んだ辺り、近くにカイユさんがいる……。もしくは、カイユさんが攫われた……。


「大丈夫か、神咲」


目から手を離されて、ようやく視覚が戻って来た。目の前にいるのはまだ誰か分からない。手を外されても、見えるのは黒い物だけだから。でも私を神咲と呼ぶ声的に考えて、おそらく如月さん。


「は、はい……」


如月さんに離され、周りが見えるようになった。どんな状態になったかは分からないけど、変な事にはなっていない。

ロウ君は髪が少し乱れて、頬に少し血が滲んでいる。対してカイユさんは無傷で、相変わらずその眩しい笑顔を向けていた。……一番重なのは如月さん。頬、目元から血が滲み、左手に裂けた跡がある。


「き、如月さん! その手、手当しないと!」

「問題無い。それよりカイユ、レグルスが珍しくスタンガンを使わ無かった。疑問に思わないか?」

「持って来て無かったとかは無いっしょ」


二人から少し離れた所で膝を付いているロウ君に近寄り、ポケットからガーゼとバンドエイドを出した。


「ロウ君も……大丈夫?」

「僕は平気だよ、ありがとう! 君こそ大丈夫?」

「私は何も傷付いて無いから。でも如月さんが……」


横を見ると如月さんとカイユさんはまだ話している。早く如月さんの手当しないといけないのに……。


「ファンタジスタは気付いていたというのか?」

「さーな。知らんけど、その可能性は無くはないだろ」

「そうだが……」


ファンタジスタがTVMの事に気付いていた……。

第15話 色褪せない思い出→←第13話 ファンタジスタの思惑



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作者名:櫻咲翼遥 | 作成日時:2016年12月25日 18時

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