エンド・カード3【JG】

エンド・カード16 ページ7

「え………」


いきなり話しかけられたのと図星を突かれたので情けない声が口から漏れる。

それが面白かったのか、目の前の男性は高らかに笑った。



「いや、もしかしたらと思ったが、御幸啓介のことかい？」


「な、何故それを……」


「彼は私の教え子でね。家が近いこともあってよく私に学校のことを話してくれるんだよ。彼の親は彼が幼い頃に他界していて、私が世話をしてやっていたんだ。」



「今では随分立派になってな…」と嬉しそうに目を細めて話す彼に此方もどうしてか嬉しくなる。



こんな優しそうな人が彼の育ての親なんだ。
そりゃあ彼も優しい人に育つだろう、と納得する。



「あぁ、話が逸れてしまったね。それで彼のことで悩んでいるのだろう？」


「……はい。彼、学部内でとても人気で……最近少し話すようにはなったのですが……その……」


「『彼ともっと親密な関係になりたい』……違うかい？」


「っ…！…………はい……」



恥ずかしくなり思わず俯いた。
そんな私を見て彼は微笑む。



「……彼のことをそんな風に慕ってくれて、育ての親としては嬉しいよ。仲良くしてくれてありがとう。」


「あ、いえ……私、そんな大それたことは……」









「来週のこの日、彼をデートに誘ってごらん。」








「……へ？」



怪しげに彼の瞳の奥が光る。
その表情に少しだけ寒気を感じた。



「彼は絶対に断らない。それは私が保証しよう。だから誘ってみなさい。…親密な関係になりたいのなら、の話だが…」




その話に頷かない訳がない
欲に負けた私は頷いた。




あんな事が起こるとも知らずに…

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