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黒猫ヨルの冒険3 ページ45

「福本は本当に器用なんだな。」


包丁で魚をさばく福本の正面で頬杖をつきながら白羽は呆然と言い放った。
いつも夕飯は福本と白羽で交代で作っているのだが、今日は福本が夕飯の当番なのだ。



「お前も、別にできないわけではないだろ」


「まぁ、苦手ではないが、面倒がかかる。」


「だから白羽の夕飯当番の日は魚が出ないんだなぁ?」


「波多野、食わせてもらってるだけでも有難いと思え」



頭の上で腕を組みながら波多野が白羽をおちょくる。
これもいつもの光景だ。


食堂の机では三好と小田切が腰掛け、其々本を読んでいる。


ふと気がついたように福本が顔を上げて台所の奥を見つめ、なんだなんだと白羽も身を乗り出し奥を見つめた。



猫がいる。それもさっきの黒猫だ。
それは、申し訳なさそうに踏み出した足を途中で止め、白羽と福本の顔をじっと見ていた。



暫しの沈黙の後、福本が手前にあった切り身をさらに細かく、一口大の大きさに切って皿に盛りつける。

そしてそれをそっと黒猫の目の前の床に置いた。



一瞬切り身を見つめた猫は、福本の顔をじっと見つめる。

まるで「食べていいのか?」とでも言いたげに。


無言で猫を見つめる福本の後ろに白羽が立ち、その光景を見て頬を緩ませた。


すると、猫はそれを合図に切り身にかぶりついた。
福本の隣に白羽も座り、美味しそうに食べる猫の頭を優しく撫でる。



「おい、餌なんてやるな。居着いたらどうする。」



いつの間に居たのか、福本と白羽の背後に三好が立っており、黒猫をジロリと睨みつけて居た。



「同族嫌悪というやつか。」


「ははっ、違いない。」


「白羽まで……」



自慢げに笑う波多野とそれに乗っかった白羽を三好が恨めしそうに軽く睨んだ。

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神永ビスコ(プロフ) - 凩奏詠さん» コメントを見るのが遅くなってしまいました……。ご指摘ありがとうございます!! (2016年11月15日 18時) (レス) id: f153aeb754 (このIDを非表示/違反報告)
凩奏詠(プロフ) - (偽の苗字)が変換されずそのままになってますよ (2016年9月10日 22時) (レス) id: e22f7985b6 (このIDを非表示/違反報告)
玉露(プロフ) - 今晩は。まずは、ここまでの話、お疲れ様です。次回からの話も楽しみです! 御園は確かに!!弟に欲しいですね♪もれなく脱ぎ癖のあるリリィが付いてきそうですが>w<  (2016年8月29日 21時) (レス) id: a93b6ad801 (このIDを非表示/違反報告)
神永ビスコ(プロフ) - 玉露さん» コメント、ありがとうございます!なんと!趣味の合うお方が!サーヴァンプ、クロのあの気怠げな感じいいですよね〜。自分は御園を弟にしたいです…っ!(切実)お母様最強説は痛感しております……(苦笑)ありがとうございます! (2016年8月18日 23時) (レス) id: 298cdf8811 (このIDを非表示/違反報告)
玉露(プロフ) - 91Daysも、サーヴァンプも両方知ってます♪アヴィリオ良いですねぇ。サーヴァンプはクロ、飼いたいと思ってみたり。更新の方は、無理なく。お母上様はある意味最強ですからw (2016年8月18日 22時) (レス) id: a93b6ad801 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:神永ビスコ | 作成日時:2016年7月26日 10時

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