ダブル・ジョーカー2 ページ38
「……君は、どう思う?」
「おそらく、憲兵ですね。」
「んん?どうして?」
あまりにも青年があっけらかんと言い放つので、不審に思いグラハムが尋ねたところ、青年はその男の額の生白さを指摘した。
額が焼けていないのは普段帽子をかぶっている仕事をしているため。
かつ、帽子を見ただけで仕事がわかり、あまり知られたくない仕事といえば、憲兵くらいしか考えられない、と。
「ふん……大体そんなところだろうさ。…驚いただろう?この坊やはこの若さで、然も日本人のくせに中々の切れ者なのさ。」
婦人に得意げに話すグラハムだったが、婦人は最近の日本の動きをよく思っていないらしい。
中国での日本の振る舞いや、スパイをよこしたことに対して、婦人は破廉恥と形容した。
「ノー!ジェーン!止めるんだ。」
婦人をキツく咎めたグラハムは青年(名を蒲生次郎という)は古い友人だと言い、完全に信頼しきっている。
悪い雰囲気を払拭するように、グラハムは婦人に散歩に行くよう命じた。
「私のあげた日傘を持っていくんだぞ。あの憲兵のようになられては困るからな。」
その念押しを背に婦人は部屋を出て行き、部屋にはグラハム、蒲生、そしてメイドしかいなくなった。
「そうだ、ミスター蒲生。彼女と一局打ってみないか?彼女は私の旧友の妹でな。日本に来てからは彼女が色々と面倒を見てくれることになったんだ。中々頭が良くて、私はほとんど勝ったことがない。」
「そうですね………」
チラリと手元の時計を確認する。
時間はまだ少しある。
「そんなにおっしゃるのなら一局だけ。」
「あ、いえ……私は……」
「いいからやりたまえ、雪くん。」
遠慮しがちに後ずさる彼女の背をグラハムが押す。
無理矢理椅子に座らせられた彼女はそっと蒲生の顔を見上げ、恥ずかしそうに顔を逸らした。
「宜しくお願いしますね、雪さん。」
「よ、宜しくお願い致します……が…蒲生様…?」
彼女の白く細い指がチェスの駒をつかんだ。
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神永ビスコ(プロフ) - 凩奏詠さん» コメントを見るのが遅くなってしまいました……。ご指摘ありがとうございます!! (2016年11月15日 18時) (レス) id: f153aeb754 (このIDを非表示/違反報告)
凩奏詠(プロフ) - (偽の苗字)が変換されずそのままになってますよ (2016年9月10日 22時) (レス) id: e22f7985b6 (このIDを非表示/違反報告)
玉露(プロフ) - 今晩は。まずは、ここまでの話、お疲れ様です。次回からの話も楽しみです! 御園は確かに!!弟に欲しいですね♪もれなく脱ぎ癖のあるリリィが付いてきそうですが>w< (2016年8月29日 21時) (レス) id: a93b6ad801 (このIDを非表示/違反報告)
神永ビスコ(プロフ) - 玉露さん» コメント、ありがとうございます!なんと!趣味の合うお方が!サーヴァンプ、クロのあの気怠げな感じいいですよね〜。自分は御園を弟にしたいです…っ!(切実)お母様最強説は痛感しております……(苦笑)ありがとうございます! (2016年8月18日 23時) (レス) id: 298cdf8811 (このIDを非表示/違反報告)
玉露(プロフ) - 91Daysも、サーヴァンプも両方知ってます♪アヴィリオ良いですねぇ。サーヴァンプはクロ、飼いたいと思ってみたり。更新の方は、無理なく。お母上様はある意味最強ですからw (2016年8月18日 22時) (レス) id: a93b6ad801 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:神永ビスコ | 作成日時:2016年7月26日 10時