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【番外編】波多野と2 ページ36

一瞬、白羽の力が緩む。

その隙を見逃さず、彼女の両手を頭上で固定し、空いた自分の片手を彼女の首に添えた。

本来ならここで手に力を入れて首を締めれば相手は簡単に落ちる。


でも今はそこまでやらない。
手加減すると言ったからな。



「私的なことを訓練中に言うのはどうかと思うが……」


「敵のプライベートを掴んでいる時にはうってつけだよ。」


「…そういうものなのかなぁ………」



未だ納得できない白羽の足と手を放してやる。
そのまま脱力したように床に倒れた白羽を上から覗き込む。

目があった白羽は力無く此方に笑いかけた。



「波多野にしては珍しいことを聞くね」


「珍しいことか?」


「あぁ。だって私たちはスパイだ。」



その言葉に口を噤んだ。


確かにそうだった。

でも、結城中佐を含めたD機関の皆は少なからず、白羽には普通の女性として生きて欲しいと思っている筈だ。



わざわざ、兄貴の後を追って、まるで復讐のようにこんな辛いことをする必要はない。



だから俺は知ってる。



キツイ訓練の後、ベッドで1人蹲り、軋むような全身の痛みに耐えていることも。


夜中、みんなが寝静まった頃、1人で人気のない庭へと出て、兄貴の写真を見ながら1人涙を流していることも。




多分こいつは仕事となったら、感情ーー相手への同情とかそんな類のものーーを一切表に出さなくなるだろう。



その代わり帰ってきて独りになってから歯を食いしばって泣くんだ。



そういう奴だよ、こいつは。



そっと白羽の手を取り優しく包み込む。
その手は思ったよりも小さくて細くて、ちょっと力を入れれば折れてしまいそうだ。



「ちっちぇー手。」


「それ…この間実井にも言われた…」



苦笑いする彼女の手は、予想以上に冷たかった。



それに温もりを与えるかのように、


しっかりと離さぬように、



俺は手をキツく握った。




▼▼


(いつか君が、帰ってこなくなるんじゃないかと想像するだけで、何だか胸の奥が少しだけ痛む。)


▼▼

ダブル・ジョーカー1→←【番外編】波多野と



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神永ビスコ(プロフ) - 凩奏詠さん» コメントを見るのが遅くなってしまいました……。ご指摘ありがとうございます!! (2016年11月15日 18時) (レス) id: f153aeb754 (このIDを非表示/違反報告)
凩奏詠(プロフ) - (偽の苗字)が変換されずそのままになってますよ (2016年9月10日 22時) (レス) id: e22f7985b6 (このIDを非表示/違反報告)
玉露(プロフ) - 今晩は。まずは、ここまでの話、お疲れ様です。次回からの話も楽しみです! 御園は確かに!!弟に欲しいですね♪もれなく脱ぎ癖のあるリリィが付いてきそうですが>w<  (2016年8月29日 21時) (レス) id: a93b6ad801 (このIDを非表示/違反報告)
神永ビスコ(プロフ) - 玉露さん» コメント、ありがとうございます!なんと!趣味の合うお方が!サーヴァンプ、クロのあの気怠げな感じいいですよね〜。自分は御園を弟にしたいです…っ!(切実)お母様最強説は痛感しております……(苦笑)ありがとうございます! (2016年8月18日 23時) (レス) id: 298cdf8811 (このIDを非表示/違反報告)
玉露(プロフ) - 91Daysも、サーヴァンプも両方知ってます♪アヴィリオ良いですねぇ。サーヴァンプはクロ、飼いたいと思ってみたり。更新の方は、無理なく。お母上様はある意味最強ですからw (2016年8月18日 22時) (レス) id: a93b6ad801 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:神永ビスコ | 作成日時:2016年7月26日 10時

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