エンド・カード3【JG】

エンド・カード36 ページ27

「…そう……でしたか……」


だから兄さんは最期までこれを持っていたのか……。

兄の、中佐に対する尊敬と羨望が垣間見えた気がした。




「………中佐に、言わなければならないことがあります。」





私は、話した。

兄のことを。




兄は、死んではいなかった。
捕まって、長い間あの狭い部屋に閉じ込められていたのだと。

それをしたのが、昔の自分の師匠だったと。




そして、感情に流された自分が、師匠諸共兄も殺したということを。




「……貴方の言った通り、女はスパイには向いていません。安原ミヨコが折角良い例となったのに、私はそれを忘れ、自らの感情の向くまま、相手を殺した。」


「………………」



沈黙が流れる。

それが何だか重苦しくて、冷たく感じて、息が詰まった。




「……こんな私に、スパイを続ける資格など、ないのだと思います。

でも……私には………帰る場所がないんです……。

兄の分まで……兄さんが生きれなかった分まで……自分が代わりに、スパイとして生きていきたいのです…。」





「だから、」とやっと絞り出した言葉が喉元で、また詰まった。




違う……こんなのは、ただの言い訳だ…




「私はまだ……」





嫌だ……嫌なんだ……






「………スパイを続けたいんです。」




私を………………捨てないで…

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