エンド・カード3【JG】

エンド・カード31 ページ22

そこから先のことはよく覚えていなかった。
ただ気がつくと、目の前には血肉の塊と化した自分の元師匠がいた。



「…………A………」



何処からか苦しげに私の名前を呼ぶ声が聞こえる。
辺りを見回せば私からそこまで遠くない距離に兄が倒れていた。


眉間に皺を寄せて此方を見るその顔は冷や汗でじっとりと濡れている。



「……兄さん……」



慌てて駆け寄り、震える彼の手をしっかりと掴む。
背中に手を寄せ持ち上げた兄さんの体は、思った以上に軽かった。



「……ごめん………兄さん…」

「………Aが無事で……良かったよ…」



苦しそうに笑う兄さんに自然と涙が頬を伝った。




兄さんはこんな時までお人好しだ。
自分が大変な状況に追い込まれてるのに、人の心配ばかりして……



とめどなく溢れる涙が兄さんの頬へと落ちる。



「……A……俺は……もう…長くない……」

「…………うん……」

「…今も…大分…………苦しい……」

「………………うん…」

「だから………お前の手で……終わらせてくれ………」



その言葉で私の時が一瞬にして止まったような気がした。

頭が働かない。思考が停止する。

呼吸をすることさえ忘れ、目が乾いても瞬きすらできない。



「…にい…さん……？」

「……あの男に……っ殺されたくは、ない…。……苦しみたくも…ない。…………だから……お前の…そのナイフで……俺を…………殺してくれ。」

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