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白と桜と夕日の君と:2 ページ9

「どうもしないよ?」
「....ならいいけど。」

こちらが話さないと、それ以上はもう何も聞いてこない。
これは彼なりの気配りで、そういう大人びたところも好きだったりする。

絡ませた腕に、ほんの少しだけ力を込める。
彼はいつだって俺にされるがままだ。
でも、その理由もわかっている。
もう、いいだろう。
こんな最高のシチュエーション。
きっと今しかないのだ。

「ねぇ、知念。」
「んー?」
「.....好きだよ。」

リラックスしていた彼の体に少しだけ力が入った。きっと驚いている証だろう。

「...ずっと....好きだった。」
「.....ずっ、と.....?」
「そ、....ずっと、知念のこと好きだよ。」
「.....そ.....っか.........。」

そう呟いた彼は、ひとつ深呼吸をした。
この後に出てくる彼の答えなんて怖くない。
だって。

「.....僕も、好き....。」

そう言いながら、ゆっくりと背後の俺に凭れ掛かってくる。
そんな彼の重みがとても心地良い。
顔を覗き込めば、唇を噛んでハニカミながら綺麗に微笑む彼の横顔に出会った。
「...知ってる。」と答えれば、きょとんとした顔で「へ?」とこちらを向く可愛い彼と目が合う。

「知念が俺のこと好きだって、知ってた。」
「うそ...。」

驚いた顔もびっくりする程幼くて可愛い。

「ホント。」
「なん、で...?」

そんなの決まってんじゃん。
ずっと君のこと見てたからだよ。
よく目が合ったでしょ?
それはお互い好きな人を目で追ってたからなんだよ?
でもきっと鈍感な君にはわからなかっただけ。

「内緒。」
「え、なんで?教えてくれないの?」
「そう簡単には教えられないよ。俺の特殊能力だから。」
「もう...またテキトーなことばっか。」

夕日に照らされた桜の木の下。
彼を抱き締めながら、クスクスと笑い合う。
幸せな時間ってきっとこんなにも自然に、ふわりと生まれてくるんだろう。

パシャリ。

二人だけの世界に割って入る音。

「すごく良いのが撮れたよ。」

離れて戯れる俺たちを見つけたカメラマン。
近寄ったがあまりにも綺麗な画に、思わずシャッターを切ってしまったのだとか。
見せてもらうと、本当に素敵な写真だった。
後で現像してもらおう。

そうだ明日...。

「ねぇ、ちょっとこれで写真撮って。」

自分のスマホをカメラマンに渡す。

「知念、明日のテレビ用に一緒に撮ろ。」
「いいよー。」


この写真が俺たちの記念すべき日の写真だということは、誰も知らない、二人だけの秘密。






end

奇妙な三角関係:1 @tkincn→←白と桜と夕日の君と:1 @incn



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ちぃねずみ(プロフ) - >>ゆやちね様 コメントありがとうございます。たかちねは難しいですが頑張ります。 (2018年10月29日 1時) (レス) id: a51ac93ded (このIDを非表示/違反報告)
ゆやちね(プロフ) - たかちねのお話とかすごく好きです! (2018年10月29日 0時) (レス) id: 866f23e461 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ちぃねずみ | 作成日時:2018年2月14日 13時

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