愛しい人:3 ページ5
何かを言おうとしてはぐっと口を噤む。
何度かその繰り返しを見ていると、くんっと俺の着るTシャツが小さく引かれた。
そこに目線を落としても実際の行動は見えない。
けれど、それは布団の中で知念の可愛らしい小さな手が遠慮がちにキュッと俺のシャツを掴んでいる証。
その目線を再び彼に戻すと、薄っすらと潤んだ瞳にぶつかった。
それが合図かのように彼は小さく息を吸い込むと、震える声で俺に問いかけ始めた。
「........いのちゃん。.......僕......魅力、ない...?」
「.....へ?」
「.....やっぱり......女の子が..いい....?」
「え?ちょっと待っ...なに?どういうこと?」
頭がついていかなくて、思わず顔を覗き込むと、彼はスッと俯き顔を赤くして、目を伏せながらその先を話す。
「っ.....付き合って...一年、経つのに........その.......、ち、ちゅう......しか、してくれない......から....っ...。」
「へ......?」
「だか、ら......僕に...魅力ない、のかなって.......、やっぱり.......そっ、そういう、こと、は........女の子の方が、いいのかな......って......。」
本来、こういった話は苦手なはずの彼が、顔を真っ赤にしながら一生懸命に言い難い事を言ってくれる。
「どうすれば.....いいの....?.......僕....どうしたらいのちゃんに......触れて、もらえる...の....?」
恥ずかしさと悲しさが入り混るように、綺麗なその目には今にも溢れ出てしまいそうなほどの涙を溜めて、必死に今まで抱いていただろうその不安を震えながら伝えてくれる。
そんな姿に、考える間もなく体が動いた。
ぎゅっと強く強く、彼が苦しくなるくらいに強く抱きしめる。
こんなことを思わせてたなんて知らなかった。
知念にはちゃんと“好き”を伝えてたつもりだった。
大事に大事にしたかった。
でも。
大事にするって、どういうことだろう。
こんなにも不安にさせて大事にしてるっていうのだろうか。
違うよな。
これは単なる自己満足だよ。
「ごめんっ!知念のこと大事にしたくて...怖がらせたくなくて...っ、好き過ぎてどうしようもなくて、知念を壊しそうだったから...。」
俺が抱きしめた腕をさらに強くすると、きゅっと抱きしめ返してくる。
「いのちゃんの愛なら......僕、なにも怖くないよ...?」
ハニカミながら、ふんわりと微笑む知念。
「好き....。ホント.....好き、知念.....。」
こんなにも人を愛おしく思ったことはない。
今まで以上に彼を大事にしたいと思った。
end.
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ちぃねずみ(プロフ) - >>ゆやちね様 コメントありがとうございます。たかちねは難しいですが頑張ります。 (2018年10月29日 1時) (レス) id: a51ac93ded (このIDを非表示/違反報告)
ゆやちね(プロフ) - たかちねのお話とかすごく好きです! (2018年10月29日 0時) (レス) id: 866f23e461 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちぃねずみ | 作成日時:2018年2月14日 13時