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へべれけ のち 計算:6 ページ28

何を言われてるのか理解できなかった。
目の前にいるいのちゃんは、ゆでダコのように真っ赤で、声も手も震えていて。
それでも真っ直ぐに僕を映す大きな瞳は揺るぎなく強くて吸い込まれてしまいそうだ。

「俺は知念が、恋愛対象として好き。」
「......。」

あまりもの驚きで、僕は声が出ない。
それを“困っている”と受け取った彼は、とても切ない顔をして優しく微笑みながら、「変なこと言ってごめんね。困らせちゃった。」と僕の頭を撫でてくれる。
違うよ、いのちゃん。
僕、困ってなんかない。
そう言いたいのに声が出てくれない。
代わりに出るのは、僕が一番望んでいない涙。

「ああ、ごめんねごめんね。泣かないで?」

僕の涙にオロオロしながら、何度も謝って自らの指で涙を拭ってくれる。
誤解されたくなくて、抱えていたブランケットから片手を離し、その手で彼のシャツをきゅっと掴む。

「....知念?」

優しい口調で僕の名前を呼ぶ。
それに答えたいのに、涙は止め処なく溢れて、ただただ首を横に振ることしかできない。
いのちゃんはこんなにも真っ直ぐに伝えてくれたのに、僕は何をやってるんだ。
シャツを掴んだ手に力を込めて、もう片方の手でぐしぐしと子供のように涙を拭う。

「...困っ......ないっ....。」
「ん?」
「困ってなんかない....。」
「へ?」
「好きだもん.......、僕もいのちゃん、好きだもん...っ。」
「いや、でも......。」
「違うの....。大好きないのちゃんに好きって言ってもらえて嬉しかったの....っ。嬉し過ぎてね.....でも驚き過ぎてね......何も言えなくなっちゃったの....。」

一生懸命に大好きを伝えたら、見たことないくらいに優しく笑ういのちゃんがいて。
それにまた感情が揺すぶられて、僕は大泣きしてしまう。
そんな僕をぎゅーっと抱き締めてくれるいのちゃん。

「好きだよ、知念。」
「僕も好き、いのちゃん。」

大泣きしている僕の涙を再びその手で拭ってくれて、そのまま僕の唇に優しいキスが落とされる。

いのちゃんが大好きで大好きで仕方がなかった。
そんないのちゃんが、誰も見た事がないくらいに優しい笑顔を僕に向けてくれてる。
誰も聞いたことがないような優しい声で「大好きだよ」と言ってくれる。
見た目はとっても可愛いいのちゃんだけど、僕の前ではいつだって頼もしい人。

「知念。」
「なに?いのちゃん。」
「大好きだよ。」
「ふふ、僕も大好き。」




end.

昔のように@tk&cn→←へべれけ のち 計算:5



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ちぃねずみ(プロフ) - >>ゆやちね様 コメントありがとうございます。たかちねは難しいですが頑張ります。 (2018年10月29日 1時) (レス) id: a51ac93ded (このIDを非表示/違反報告)
ゆやちね(プロフ) - たかちねのお話とかすごく好きです! (2018年10月29日 0時) (レス) id: 866f23e461 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ちぃねずみ | 作成日時:2018年2月14日 13時

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