おめでとう:2 ページ14
あの後、二人で二時間程ゲームをしてから、「ちーちゃん、頑張って!」と言い残し圭人は帰って行った。
一人残された僕には、これから大きな試練が待ち受けている。
「よし.....!」
ヒカに教えてもらったレシピを取り出す。
そう。
僕はこれから涼介のために苦手な料理を作るのだ。
事の発端は一ヶ月ほど前。
楽屋でテレビを見ていた時だった。
街のインタビューみたいなのが流れてて、僕は何気なしに準備をしながら横目で見ていると、「これ理想だよねー!」と涼介と大ちゃんと圭人が盛り上がっていた。
そのインタビューをみんなに気付かれないように聞き耳立てて聞いてると、「彼の誕生日には手料理を作ってます。」だの「彼の好きなものを作ってあげたらすごく喜んでくれた。」だの。
どうやら誕生日に手料理を作ってもらうのが理想だと三人で盛り上がってるようだった。
「誕生日に手料理.....。」
ボソッと漏れた僕の声に「作ってあげたら?」とヒカからの回答。
「へ?」
「心の声、だだ漏れてたぞ。」
おかしそうに笑いながらそう言われて、居たたまれなくなって「うるさい...。」とだけ返す。
「簡単なものでいいじゃん。知念が作ってくれたとなったら山田、絶対喜ぶと思うよ?」
「......作れないもん。」
「俺が簡単なレシピ教えてやっからさ、作ってあげたら?」
そんなヒカの申し出に思わず「うん。」と頷いてしまって、今に至る。
「大丈夫...。一回ヒカのお家で練習したもん...。ちゃんと上手くできたから大丈夫...。」
そう自分に言い聞かせて、ヒカのレシピを手に取る。
“何かわからないことあったら連絡しておいで。少しくらい失敗しても、気持ちは伝わるから大丈夫だよ。”
レシピが書かれた紙の上の部分に、ヒカからの優しいメッセージ。
「うん、大丈夫!」
スマホを片手にキッチンへ向かう。
取り敢えずヒカに“これから作るよ!”とメッセージを送る。
するとすぐに既読が付いて“頑張れー!”と返ってきた。
もしかして、僕のもしもの時のために待っててくれてるのだろうかと思ったら、ちょっとだけ泣きそうになった。
レシピを何度も何度も見ながら、不器用ながらもなんとか形になった。
味見もしたけど、大丈夫な気がする。
出来上がりの写真をヒカと圭人に送ると、二人ともすぐに既読になって返信してくれた。
二人にお礼を言って、あとは涼介が帰ってくるのを待つだけ。
時刻は18:30。
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ちぃねずみ(プロフ) - >>ゆやちね様 コメントありがとうございます。たかちねは難しいですが頑張ります。 (2018年10月29日 1時) (レス) id: a51ac93ded (このIDを非表示/違反報告)
ゆやちね(プロフ) - たかちねのお話とかすごく好きです! (2018年10月29日 0時) (レス) id: 866f23e461 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちぃねずみ | 作成日時:2018年2月14日 13時