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奇妙な三角関係:2 ページ11

「俺、嫌なんて一言も言ってないけど。」
「じゃあ、今の僕も可愛い?」
「うんうん、知念は可愛い!」

冗談っぽく言ってみるが、内心結構本気で思ってたりする。
そんな俺の気持ちを知ってか知らずか、自信満々な笑顔で「知ってる。」とご機嫌な知念から返事が返ってくる。
そこへ「俺の知念を口説くなよ。」とよく分からないことを言って知念をぎゅうぎゅう抱きしめながら割って入ってくる伊野尾くん。
そんな彼にちょっとだけ悪戯心が芽生えた俺。

「伊野尾くんも可愛いよ。」

定評のある声と共に微笑んでみせると「ばっかじゃねーの!」とプンプンしているけど、その顔は耳まで真っ赤だ。
あー、二人とも違う可愛さがあるよね。
でもどことなく取り巻く空気というか雰囲気というか、似てるんだよね。
うん。
俺、やっぱ好きだわ、この二人。
目の前でくっつく二人の頭を纏めてわしゃわしゃと少し雑に撫でる。

「わー!やめてよー!」
「おまっ!やめろよー!」

同じタイミングで同じような言葉を放つ二人。
それがなんだかおかしくて手を叩いて笑う俺と、「まったくもう!」と髪を整える伊野尾くん。
だけど右側のハネが直ってなくて、俺は笑いの余韻を残しつつ「ここ直ってないよ。」と伊野尾くんの髪を優しく直すと「ん...、ありがと。」としおらしく礼を述べる伊野尾くん。
なんだか初々しいカップルみたいだ。
そんな二人の間にいる知念が、その小さな手で徐に俺と伊野尾くんの手をきゅっと握る。

「ほぇ?!」

びっくりして変な声を出す伊野尾くんと、びっくりして声が出ず固まった俺。
会場では間もなく始まるというアナウンスが流れて場内がザワザワ響めき出す。

「知念、どうしたの?」

しばらく手を握ったまま無言の知念に、伊野尾くんが問いかけると、「ふふっ。」と可愛らしく笑った。

「なに?」
「僕ね、いのちゃんと雄也の間にいるとね、いつも嬉しくなっちゃうの。僕のお気に入りの場所なの。」

声を弾ませて嬉しそうにそう話す知念。
俺もなんとなくそう思ってたから、同じ気持ちだったことが嬉しくて「俺も同じこと思ってた。」と知念に告げた。
そして正に同じタイミングで、伊野尾くんも同じセリフを知念に告げる。
あまりにリンクしすぎて、驚きながらお互い顔を見合わせると、どちらともなく「ふっ。」と吹き出す。

「真似すんなよなー。」
「伊野尾くんこそ。」
「ねぇ、最初に言ったの僕なんだけどっ。」

三人顔を見合わせて、「なんだこれ。」と笑い合う。

奇妙な三角関係:3→←奇妙な三角関係:1 @tkincn



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ちぃねずみ(プロフ) - >>ゆやちね様 コメントありがとうございます。たかちねは難しいですが頑張ります。 (2018年10月29日 1時) (レス) id: a51ac93ded (このIDを非表示/違反報告)
ゆやちね(プロフ) - たかちねのお話とかすごく好きです! (2018年10月29日 0時) (レス) id: 866f23e461 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ちぃねずみ | 作成日時:2018年2月14日 13時

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