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St.Valentine Day:2 ページ2

「あー...癒される....。」
「お疲れさま....大丈夫?」
「知念を充電できたからもう大丈夫。」
「ふふ、いっぱい充電していいよ。」
「...あーもう、可愛いなぁ...。」

そう言ってぎゅーっと強くも優しく抱きしめてくれる彼が苦しいほどに好き。

「いのちゃん...。」
「んー?」
「...あのね...これ....。」

ポケットに忍ばせた小さな箱。
歪なラッピングは僕の不器用さを物語っている。
それでも、自分で包みたかったの。
僕の想いをちゃんと込めたかったの。

「...くれるの?」
「うん。あのね、昨日ね、お姉ちゃんと一緒にね、作ったの....。」
「手作り...?」
「...うん..、ヤ、だった?」

不安に駆られて恐る恐るいのちゃんの顔を伺う。

「んなわけないじゃん!めっちゃ嬉しい!開けていい?」
「うん...。あのね、うまく形にできなかったの...。だから綺麗じゃないんだけど...。あと、ラッピングも....。」

ハート形はどうしても恥ずかしくて、不器用な僕でも形になりそうなボール形にした。
それでもなかなか綺麗な丸にはならなくて、ラッピング同様チョコの形も歪だ。

「でも知念が一生懸命作ってくれて、頑張って包んでくれたんでしょ?」
「...うん。」
「俺はそれが何よりも嬉しいよ?....おお!三つも入ってる。一個食べてもいい?」
「え?今食べるの?...ちょっと、恥ずかしい。」
「ふふ、可愛い...。....いただきます!」

いのちゃんは箱に入ったチョコの一つを手に取って口に運ぶ。
ドキドキと心臓の音がうるさい。
美味しいかな...口に合うかな....。

「うまっ!めちゃくちゃ美味しいよ、知念!」
「ほんと?はぁ...良かったぁ。」
「あとはゆっくり大切に食べる!ありがとね、知念。」

そう言って残りを大事そうにカバンに仕まう。
作って良かった。
渡せて良かった。

「ふふふ。」
「ん?なに?」
「いのちゃんが美味しいって言ってくれて嬉しくて...。作って良かったなぁって。えへへ。」

きっと今、僕は満面の笑みでいのちゃんを見ていることだろう。
大好きが溢れて堪らなくなって、彼の腕の中へ飛び込む。

「いのちゃんの罠にかかるともう逃げられないねっ。」

半分本気で半分冗談として受け取ってもらえるように、クスクス笑いながら本心を伝える僕は、少しズルいかな?
そんな僕をさらにぎゅっと抱き寄せる彼。
その抱きしめ方に先程までの戯れた感じではなく真面目さが伝わる。

「いのちゃん...?」
「罠にかかって虜になってるのは俺の方だよ。」

end

愛しい人:1 @incn→←St.Valentine Day:1 @incn



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ちぃねずみ(プロフ) - >>ゆやちね様 コメントありがとうございます。たかちねは難しいですが頑張ります。 (2018年10月29日 1時) (レス) id: a51ac93ded (このIDを非表示/違反報告)
ゆやちね(プロフ) - たかちねのお話とかすごく好きです! (2018年10月29日 0時) (レス) id: 866f23e461 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ちぃねずみ | 作成日時:2018年2月14日 13時

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