赤い唇に口付けを ＊ ２

STORY 6 ページ6

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「あ、これ可愛い」


慎『どれ？』




私が一目惚れした洋服。

それはベージュのロングコート。




慎『確かにAさんに似合うかも。これにする？』

「可愛いけど、でも高いからやめとく」




値段は９８００円。

とてもじゃないけど、私には買えない。


こんな値段の服を買ってしまったら

生活出来なくなっちゃうし。

私は泣く泣く諦めて他のを探そうとしたら。




慎『俺買ってあげようか？』


「え？！」


慎『だって、欲しいんでしょ？』


「いや良いよ！そんな買ってもらうなんて悪い事できない」




私は顔をぶんぶん横に振る。




慎『良いよ、そんな遠慮しなくて。俺ボーナス貰ったばっかだし。これプレゼントするよ』


「あ、ちょっと慎君？！」




そう言って慎君はベージュのロングコートを

手に持ってレジへと向かう。




「慎君！本当に良いからっ、ボーナスは自分の為に使って？」


慎『Aさんしつこい。買うって決めたんだから少し黙ってて』


「９８００円だよ？そんな高いもの慎君に買わせる訳にはいかない！だからちょっと待ってって、」


慎『Aさん、』


「フゴッ………」




慎君が急に止まるから

慎君の背中に鼻を強打した。




慎『あ、ごめん。大丈夫？』


「だ、大丈夫」




慎君は少し屈んで私の顔を覗き込んできた。




慎『Aさんやばいよ！鼻血出てる』


「へ、」


慎『ちょっとトイレに行って拭いてきな』


「嘘っ………ちょっとトイレ行ってくる」




慎君にそう言われて

鼻を抑えながら急いでトイレに向かった。




慎『Aさんて、本当ちょろいな』




慎君にそんな事言われているとも知らずに。




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