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「うっ……」

『!?』


撃たれたような衝撃はこなくて、予想もしなかった男のうめき声が聞こえて、ぎゅっと固く瞑った目をゆっくりと開けた。

カチャンッと音がして目の前に落ちたのは、男の持っていた拳銃。

今度こそ何が起こったのか分からなくて、目の前の男をぽかんと見つめる。


「クソッ……狙撃か。相変わらず嫌なタイミングで来やがるな」


チッと盛大に舌打ちをする男。

その男が落ちた拳銃を拾おうとすると、再び銃声が聞こえて男の肩を撃ち抜いた。


「ぐぁ…?!」

『ひっ…!?』


再び目の前で赤い血液が飛び散って、思わず小さく悲鳴をあげる。

こんな短時間の間に、赤い液体が飛び散るのを何度も見てしまって、危うく意識を飛ばしそうになる。

一体何が起こってるのよ。
何でこんなことになってるの。

気づけばボロボロと目から涙が溢れ出していた。

何故自分が泣いているのかわからないものの、一度それに気づいてしまえば、もうそれを止めることなんてできなくて。

兄の傷口を押さえつけたまま、兄の体にすがりつく。

すると、兄の体がピクリと揺れた。


「ぅ、…っ?!…どぅ、し…て…ここ、に……?」

『っ!?お兄ちゃん!』


小さな呻き声と共に聞こえてきた兄の声。

まだ生きている。という事実に少しホッとしたものの、兄の顔色の悪さに再び心臓が嫌な音を立てた。


「まだ生きてたのか…。しぶとい奴だな」


ホッとしたのも、心臓が嫌な音を立てたということを感じたのも、ほんの一瞬の間だけで。

背後から聞こえた、その低くてどすの利いた声にゾワリと鳥肌がたった。

今度こそは殺されるかもしれない。

そう思って、震える手をぎゅっと握りしめ、ゆっくりと後ろを振り返った、その時__


『ぅぁ゛っ……?!』


横腹に固い棒で殴られたような衝撃がきて、吹っ飛ばされた。

その先で、ガンッと柱に頭を打ち付けて、意識がふわっと遠のく。

だめ。ダメよ。
まだ意識を飛ばしてはダメ。
お兄ちゃんが、お兄ちゃんが危ないのに。

ドロっとした液体が自分の頭から流れ出ていることなんて気にせずに、必死になって兄の元へと近づいていく。

どんどん視界が狭くなって、体が動かなくなって、周りの音が聞こえなくなって。


「やめろーーッ!!!」


兄の焦った声がはっかりと聞こえた次の瞬間、意識は完全にブラックアウトした。

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花松ロン(プロフ) - 初めまして。一気読みさせていただきました!!超面白くて、もう2人の関係にニヤニヤが止まりません笑 更新楽しみに待ってます!! (2023年2月23日 23時) (レス) @page37 id: 3241c90ca3 (このIDを非表示/違反報告)
霜月千(プロフ) - 現在一気読みしているんですがめっちゃんこ面白いです‼︎更新楽しみにずっと待ってます (2022年5月15日 12時) (レス) id: daaa59ce20 (このIDを非表示/違反報告)
いちごきゃらめる(プロフ) - めちゃ面白かったです!更新楽しみにしてます (2021年2月24日 17時) (レス) id: 654b6b5b60 (このIDを非表示/違反報告)
のんちゃん(プロフ) - めっちゃくちゃ面白いです!続きが気になるとこで終わっている....続きがめっちゃ気になります!いつか更新して頂けることを願っています!ぜひよろしくお願いします!これからも応援してます!!!!!!!!! (2020年9月13日 16時) (レス) id: 03b3e3161b (このIDを非表示/違反報告)
はりねずみ。(プロフ) - まなさん» ありがとうございます!番外編の後に本編も必ず更新する予定なので、気長に待って頂けると嬉しいです。 (2020年6月24日 0時) (レス) id: f57cf1299c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:はりねずみ。 | 作成日時:2019年3月22日 12時

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