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その全てがスローモーションに見えた。
目の前に飛び散った赤い血液。
地面に倒れこむ兄の姿。
『…お…おに……ちゃ…？』
何が起こったかわからなくて、これが現実なのかもわからなくて。
兄を撃った男がこちらを振り返ったことさえも、全く気にならなくて。
ドサっと薬が入っていた袋が手から滑り落ちた。
兄の胸からとめどなくあふれ続ける赤い液体を、なんとかして止めなければ。
そのことだけが頭を埋め尽くしていて。
『お兄ちゃんっ！！！』
慌てて兄に駆け寄って、持っていたタオルで血が流れ出る右胸のあたりを強く押さえつける。
止まらない止まらない止まらない！！！！
ドバドバと流れ出る赤い液体は、雨で濡れた道に広がって流れていく。
押さえつけていたタオルも赤黒く染まっていく。
早く救急車を呼ばないと。
そう考えて携帯を取り出すと、パァンと乾いた音があたりに響き、携帯が弾き飛ばされた。
「まさか、こんなところに君みたいな可愛い子が来るなんて思いもしなかったよ」
カチャリと耳元で拳銃を構える音が聞こえた。
しかし、銃口を向けられても、“恐怖”なんて感情は不思議と湧いてこなかった。
いや、恐怖を感じることすらできないほど、動揺して焦っていたのかもしれない。
「さっき、君は目の前に横たわっている彼のことを “お兄ちゃん”と呼んだね？君は彼の妹さんかな？」
『…そんなこと知ってどうするのよ。それを下ろして』
「それはできないお願いだな。君は、僕が彼を撃つところを見てしまい、僕が悪いクスリを扱っているということも聞いてしまった。そんな子をここで見逃してあげれると思うかい？」
�猴イ靴い�じさま��
その言葉が似合いそうな男だった。
この人が犯罪を犯しているなんて、誰も思いもしないような容姿。
微笑まれれば、安心してしまうような雰囲気。
その男に、ニコリと目が笑っていない笑顔を向けられる。
「あぁ、そんなに震えて怖がらなくて大丈夫だよ。痛みなんて感じないくらい、すぐ楽にしてあげるから」
男はそう告げて、私の眉間に銃口を向けた。
男の目線を追って、兄の右胸を押さえ続けている自分の手を見るとガクガクと大きく震えていて。
＿＿怖い。
その時、初めてはっきりと恐怖を感じた。
「天国で
引き金をひく寸前の男の指に、力が入ったのが見えて。
その瞬間、辺りに一発の銃声が響き渡った。
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花松ロン(プロフ) - 初めまして。一気読みさせていただきました！！超面白くて、もう2人の関係にニヤニヤが止まりません笑 更新楽しみに待ってます！！ (2023年2月23日 23時) (
レス) @page37 id: 3241c90ca3 (このIDを非表示/違反報告)
霜月千(プロフ) - 現在一気読みしているんですがめっちゃんこ面白いです‼︎更新楽しみにずっと待ってます (2022年5月15日 12時) (レス) id: daaa59ce20 (このIDを非表示/違反報告)
いちごきゃらめる(プロフ) - めちゃ面白かったです！更新楽しみにしてます (2021年2月24日 17時) (レス) id: 654b6b5b60 (このIDを非表示/違反報告)
のんちゃん(プロフ) - めっちゃくちゃ面白いです！続きが気になるとこで終わっている....続きがめっちゃ気になります！いつか更新して頂けることを願っています！ぜひよろしくお願いします！これからも応援してます！！！！！！！！！ (2020年9月13日 16時) (レス) id: 03b3e3161b (このIDを非表示/違反報告)
はりねずみ。(プロフ) - まなさん» ありがとうございます！番外編の後に本編も必ず更新する予定なので、気長に待って頂けると嬉しいです。 (2020年6月24日 0時) (レス) id: f57cf1299c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：はりねずみ。 | 作成日時：2019年3月22日 12時
