安室透にデコチューされるところから始まる話

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私の言ったことが聞こえなかったかのように、さらりとながして食器を洗い始める安室さん。

その姿にはぁ。とひとつため息をつきつつも、答えてくれなかったことを再び聞いた。

『最初は噛むほど緊張してたのに、どうして急にふっきれたように口説き始めたんですか』
「…随分といきなり直球な質問してきますね」
『さっきも聞いたんですけど』
「そうでしたっけ？」
『とぼけないでください。絶対覚えてるでしょ』

じろりと睨むが、それも綺麗さっぱりにながされて安室さんは淡々と答えた。

「自分だけ恥ずかしいような、なんとも言えない気持ちになるのはどこか癪だったので、もういっそのこと巻き込んでしまおうと思いまして。恥を捨てました」
『…ちょっと意味がわからないんですけど。恥を捨てた？もともと無いでしょう？人間卒業してますもんね？』
「ハハハ。本当に余計なことばかり言いますね。余程唇にキスして欲しかったんですね。照れなくて良いのに。言えばいつでもしてあげますよ？」
『アッ、だめだ。もうこの人ダメよ。110番して救急車呼ばなきゃ』
「救急車は119です。なに警察に連絡してるんですか」
『……ちょっと間違えただけです』

ちょっと反撃しようと思ったのに、かえって余計に恥をさらした様な気がするのはきっと気のせい……ではないわよね。

はぁ。と再び小さくため息をつく。
自分のダメさにつくづく呆れるわね。
しみじみとそんなことを感じていると、いきなり後ろから両肩を掴まれた。

「Aさんっていつから安室さんと付き合ってたんですか！？」
『………………………………………え゛？』

あ、そう言えば、ここにいるのって私たち2人だけじゃないんだった…。

肩を掴んでキラキラした顔を向けてきたのは、マイエンジェルの梓さん。

何その顔。めちゃくちゃ可愛い。写メ撮らせて。
…じゃなくて！！
え？ちょ……え？
今、私が安室さんと付き合ってるって言った？

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