安室透にデコチューされるところから始まる話

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ま、まさか。
このイケメン、一度ならず二度までも…！！

感情に任せてばっと後ろを振り返る。
その瞬間、整いすぎた安室さんの顔がドアップで見えて、頰に手を添えられ唇を重ねられた。


『なっ…、んぅ！？……っ、ぁ……』


突然の口づけに頭がついていかなくて、よく分からないままピタリと固まる。
すると、何を思ったのか、安室さんは触れるか触れないかの力加減で私の耳の淵をすり、と撫でた。

それにびくりと肩を震わせて、口を少し開けてしまう。
そんな私の反応に対して、まるで待っていたというように、安室さんは自身の口に含んでいた水をこぷりと流し込んできた。


『…んっ！？……ぅ、んんんんんん！！』


どんどん流し込まれる水にもう無理だと制止の声を上げても安室さんは知らんぷりで。
やっと唇を離されたと思っても、安室さんはもう一度自分の口に水を含んで、こぷりと水を口移ししてくる。

それを何度か続けられて頭の中がぼーっとしてきた時、チュッと可愛らしいリップ音を立てて唇が離れ、やっと大きく息を吸えた。


『っ、はぁ…、けほっ……。し、死ぬかと、思った…』

「ん。ちゃんと薬飲めたな。えらいえらい」

『…………安室さんが褒めた…。優しい……。明日は槍が降るのかな？？』

「は？」


安室さんの珍しすぎるその行動に、思わず心の声がポロリと溢れた。

いつもより１オクターブ低い安室さんの声が部屋に響く。

あ、待って。
やってしまった。やらかした。


『あ、あは！明日もきっと晴れですね！』

「今更訂正したって遅いぞ。
……そんなに俺が優しいのが珍しいか？」

『イエイエイツモヤサシイデスヨ。ハハ』

「……ホォー？」


目をそらしながらカタコトで返すと、真っ黒な笑顔を私にプレゼントしてきた安室さん。

安室さんのその反応にすごく嫌な予感がするのは私だけではないはずだ。
助けて。嫌な予感しかしない。
私の口よ、とにかく安室さんの機嫌をとれ。


『ほ、本当に安室さんのことは優しい人だと思ってますからね！！？たしかに、多重人格だし、人の話を聞かないし、強引だし、性悪イケメンだし、ハイスペックだし、ロリコンだし、他の女性の香水の匂いをつけてくるし、ゴリラだけど！！！！』

「それ、絶対優しいと思ってないだろ。
…………………って、は？」

『あれ…？』


なんか、勢いであまり深く考えずに思っていることを全て言ってしまったけど、今、私、何か変なことを言わなかった？


「他の女性の香水の匂い…？」

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