安室透にデコチューされるところから始まる話

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「では、そろそろお暇させていただきますね」

『いきなりの昴さん。…もう帰るの？』

「安室くんが来たらまたややこしくなるからな」

『もう既に色々とややこしいことになってそうなんだけど』

「…ゼリーとプリン、果物は冷蔵庫の中に入れておく。薬とペットボトルに入った水はここに置いておくからきちんと飲め」

『スパダリですね』

「……あと、安室くんには気をつけろ」

『…大丈夫よ。いざとなったら蹴り飛ばすから！』

「…………」


今にもため息をつきそうな顔でこちらを見てくる秀一くん。

あ、その顔は信じてないわね。私だって蹴り飛ばすことぐらいできるわよ。たしかに武道はやってないけれど、足でバーンってやればいいんでしょ。バーンって。
まあそれが、果たして安室さんに対してできるかどうかはわからないけど。
でも、高校と大学の頃は陸上部に入っていたから、足技にはそれなりに自信はあるのよ。


「陸上ができるということと、足技ができるということは違うだろう」

『え、そう、かな……？』

「そうだろう、何言ってるんだ」

『うっ……。…と、とにかく！大丈夫だよ！』

「…何かあればすぐに連絡しろよ」

『分かってる分かってる。ありがとう』


秀一くんはそう言い残して扉を閉めた。
最後に彼に、ものすごく心配しているような顔をされたのはきっと気のせいだろう。


『……安室くんに気をつけろって、どういう意味で言ったんだろう…』


そんなに心配しなくても大丈夫だろうに。
あの安室さんだし、きっと変なことはしないわよ。うん、しないわよ。……しないよね？

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