桃色ベイベー 【小瀧】

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…わたしがとろいから、怒らせちゃったかな。




少しむしゃくしゃしたような彼の横顔にどうすればいいのか分からなくなる。


本当に激怒させて、学校乗り込んでこられたらやばいもん、ちゃんと大切な距離感を守らなきゃ。




遠すぎず、近すぎ…、


「 ずっ、！ 」





どんっと人に押され、飛び込んだのは小瀧くんの背中。

ぴんと背筋が良くなった小瀧くんは、すっかり足が止まってしまって、

振り返って上からじっとわたしを見ていた。




「 …あ、ごめ、 」



そう謝って、回してしまった腕を離そうとしたとき、


「 え？ 」


その手を小瀧くんに引っ張られ、再び腰に抱きつく形に。

慣れない体勢に脈打つスピードが速くなる。




『 …な、慣れない靴履いてくんじゃねえ 』

「 え？…ローファーです、… 」

『 新品はなあ、コケやすいねん 』

「 あ、高１の時から使っております… 」

『 …ああ、うっさいなあ 』




とさっきとは逆に強引に腕を離されて、驚いたのもあっという間に、

ほんとに一瞬、一秒、今度は前からしっかりぎゅっと抱きしめられた。





『 (これ以上ハグしたら死ぬ！) 』




…な、なにいまの。心臓何個あればいいの？

恥ずかしさで体が熱い。世界もなんだか桃色に見えた。



ぼーっとしてしまったわたしに「行くで」とまたイライラしたような声を上げた。







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