ピアノとバレー (白布 賢二郎) 3

結果&招待状 ページ18

川「ちょっとまってマジえげつないって華原さん！」


白「華原お前なんなの・・・」


芹「いけあかりー！」


『・・・・・、』



やるとなったら本気でやるので、


頑張ってます、今。



川「やばい、俺あとストック2個。白布1個じゃん！」


芹「よし、勝ったな。」


白「菅野なんでまたずっと逃げてんだよ。ストック1個も減ってないし。」


芹「はあ？ガチで戦いに行ったら吹っ飛ばされるじゃん！逃げてストック溜めてんの！あかりにあげるために！あかり頑張れ！」


『・・・・・、』


川「やべっ、またカウンター・・・」





NOside



十数分後。


長く続いた対戦はやっと終わりを告げた。



結果は女子チームの勝利。



芹「いえーい！あかり最高！」


『・・・ふう。』




男子チームのストック計10個を全て削ったのはあかりであり、



この試合は、女子チームの勝利というより、




“華原あかりの完全勝利”と言った方が正しいのではないか。








数日後。




優「最後に208小節から弾いて終わりにしようか。」


『はい。』



私はくたびれた指をマッサージして、鍵盤に置く。


気付けば空は真っ赤。


思うように動かせなくなってきた指にもどかしさを感じながらも、


午前中から弾いていたんだからくたびれるのも当たり前か、と少し労わりを覚えた。


ゆっくりと呼吸をして、集中を高める。


楽譜を睨み、指を滑らせた。



216小節から237小節までが最大の難所。



右は和音進行。


左でしっかりとリズムをとって・・・



下はソ、への跳躍に注意。


そして盛り上がりのオクターブ。


手が小さい私は辛い。



『っ、』


優「走り気味だよ！抑えて！」







最後の音を強く押し込めるように弾き、



ゆっくりと鍵盤から手を離す。





優「はい、お疲れ。」


『ありがとうございます・・』



楽譜でミスタッチしたところを確認していると、


優子さんにあかり、と名前を呼ばれた。



『何ですか？』


優「明日これ行くからね。」



優子さんはそう言いながら表紙の赤いパンフレットを私に渡す。



『柊コンクール、ですか？』


優「そう。招待状もらったの。」


『そうなんですか・・でも私、初めて聞きました、柊コンクール。』


優「2年前に開催され始めたからね。でも結構大きいコンクールなのよ、主催者がお偉いさんで。」


『へぇー・・』


優「もちろん観客として行くのよ？」


『わ、わかってますよ。』

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