ピアノとバレー (白布 賢二郎) 2

逃走 ページ49

なんとかたこ焼きによる火傷を回避し、


私達はまた歩き出した。



『熱かったけど美味しかったよ、たこ焼き。』


白「ふーん、良かったじゃん。」


『白布くんは食べないの？』


白「俺はもうちょっと冷めてから食べる。」


『・・・・・・あーんしてあげよっか？』



さすがに今のは意地悪い。


そう思いながら笑顔で言ってみた。


すると白布くんはふっ、と笑いながら言う。



白「お断りしまーす。」


『・・そう？残念。』


白「華原こそもう一個どう？」


『・・・ちょっとは反省してくれたかな、って期待したのに。』


白「ふっ。・・悪かったって。反省はしてるから、一応。」


『ほんとかな・・』



反省してくれていることを信じて、前を向いた。


花火って、何時からだっけ。


いつ移動しよう。周りもちらほらと河川敷に向かう人たちが出てきたし・・


河川敷までは歩いて5分ちょっとくらいだから、



『ねぇ、白布くん。そろそろ・・・・えっ？』



聞いている途中だったのに、


いきなり、白布くんは私の手を取り、早い足取りで歩き出した。


歩幅が合わず、私は小走り状態。


人の間を縫うように歩いて行って、鳥居をくぐった。


しかし鳥居を抜けると、いきなり止まる白布くん。



『っ、』



私は勢いが止まらず、白布くんの背中にぶつかる。


とんっ、と頭が当たって、空いている手で白布くんのシャツを握ってしまっていた。



白「！？・・え、あ、ごめん。」


『ご、めんなさい・・・』



白布くんは少し振り返り、驚いたように目を見開く。


私は急いで離れた。


手は、繋いだままだったけれど。


前髪を整え、白布くんを見上げる。


白布くんはなにやら鳥居の奥の人混みを見ていた。



『どうしたの？』


白「ん？あ、ごめん華原。いきなり引っ張っていって。」



白布くんは私に向き直り、謝る。



『大丈夫だよ。けど、どうかしたの？」


白「・・・ちょっと、先輩がいて。」



白布くんは嫌そうに顔を歪めて、そう言った。



『先輩・・？』


白「うん。バレー部の・・」


『そうなんだ！あいさつとか、しなくてよかったの？』


白「・・・ばか？」


『？』


白「女子と2人でいるとこ見られたら面倒だと思わない？」


『・・・そうなの？』


白「・・そうだよ。それにちょっと厄介な人いたし・・・」


『厄介な人？』


白「前言ったことなかった？赤髪の人。」


『・・赤髪の人！』

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