ピアノとバレー (白布 賢二郎) 2

遅刻 ページ4

私が教室に入ると、みんなの視線が集まった。



恥ずかしい・・・



少し固まっていると、





澤「good morning.カハラは遅刻だと聞いてるよ。sit down please!」



と、澤田先生が声をかけてくれた。



澤田先生は英語の先生。



若くてイケメンだから女子からの人気も高い。





はい、と答えて席に着く。



澤田先生は私が教科書を準備したのを確認して、また授業を始めた。









・・・・・どうしよう。



隣からすごい視線を感じる。



視線の主は、もちろん白布くんだ。



・・・あとでどう謝ったらいいのかな。



とにかく、今は、授業に集中しなきゃ。



・・でもそのためにも視線から解放されたい・・！



少しして、やっと視線から解放された。



安心してシャーペンを握り直し、板書に集中する。









その後も授業は進んでいって、



会話文の内容を読んだとき、澤田先生が自分の経験談を語り出した。



澤田先生は先生になる前、色々な国に留学していたらしい。



なので、その時の経験談をよく授業中に語るのだ。




澤「well〜先生がeight teen のときのことなんだけどね〜___________」




聞いていて面白いけれど、かなり長いのも特徴の先生の話。



聞けなかった授業の前半を復習しようかと思っていると、



机にぽいっと四つに折りたたまれた小さな紙が飛んできた。



飛んできた方向を見ると、



白布くんが頬杖をつきながら、私、それから小さな紙を見て顎をくいっと動かした。



・・・読めばいいの・・？



紙をひらくと、



「昨日はごめん。怒ってる？」



と書いてあった。



・・・ごめん、って。


それに、怒ってないか気にしてたんだ・・・



私は急いでカバンからメモ帳を取り出しで、



一枚破り、「私こそいきなり逃げてごめんなさい。びっくりして。それに怒ってないよ。」と書いて折りたたむと、白布くんの机にぽいっと投げた。



・・・そっか、これなら緊張せずに謝れる・・



ちら、と白布くん見ると、私の紙を見てからそのままなにか書きこんで投げてくる。



開いて読むと、



「よかった。」



とだけ書いてあった。





隣を見る。



白布くんが昨日みたいな優しい顔で少し笑ってた。





・・・どうして、心が、きゅう、って締め付けられるの？




幸せで、嬉しい感じがするの？




全然、わからないけど・・・




気づけば私も微笑んでた気がする。

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