ピアノとバレー (白布 賢二郎) 2

ライン4 ページ25

白布くんに呼び止められ、再び椅子に座る。




『どうしたの、どこか辛い？』



白「あ、いや・・・」



『？』



白「・・・ちょっとくらい、そこに居てくれてもいいじゃん。」




熱のせいもあるが、赤らめた顔を背けながら白布くんが言う。




『・・・・え。』



白「言いたいこともあるし？」




言いたいこと？



なんだろう。




『わ、わかった。でも、とにかく白布くんは横になって？』



白「うん。」




白布くんは素直に横たわってから、こちらを向いた。




白「で、まずなんだけど・・・」



『う、うん。』



白「・・・ありがと。」



『えっ、い、いいえ！』



白「いやほんとに。こんなにしっかり処置できるとかびっくりした。」



『あ、それは・・お姉ちゃんが看護師だし、いつも熱出したときにお姉ちゃんがしてくれることをしただけで・・・』



白「ふーん。でもお前もかなり手際よかった。」



『あ、ありがとう・・・』




嬉しい・・・白布くんに褒められた。



お姉ちゃんありがとう。




白「・・・それだけ。」



『・・・だけ！？』




なら後でも良かったんじゃ・・・



白布くん今辛いのに。




『・・じゃあ、私戻っても・・？』



白「それはだめ。」



『な、なにそれ・・・』



白「とにかくいて。」



『どうして？寝にくくないの？』



白「寝にくくない。あとは察しろ。」



『・・・はい。』




そう言うと、白布くんは目を閉じて向こうへ寝返った。



・・ほ、本当に寝にくくないのだろうか。



黙っているのも気まずい・・・



さっき思ったこと、言ってみようかな。




『ねぇ、白布くん。』



白「ん？」



『私って白布くんに助けられてばかりだよね。』



白「・・・どっちかといえば？」



『ずっと思ってる。私は白布くんに何をしてあげられるかなって』



白「・・・別にいいよ。」



『そういう訳にはどうしてもいかないの。お礼したいって思う。』



白「ふーん・・。」



『だからね、今日白布くんにありがとう、って言ってもらえてすごく嬉しかった。』



白「・・・・」



『だから、これからは白布くんも私を頼ってほしい、な。』



白「・・・じゃあお前ももっと頼れよ、俺を。」



『え・・・』



白「華原を助けるの、全然負担じゃないから。今のところ。それにお礼とか気にしなくていいし。」



『・・・・でも。』



白「いいから。返事は？」



『・・・はい。』

ライン5→←ライン3

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す