スタート ページ36
『ただいま！』
私は勢いよく玄関の扉を開け、靴を脱ぎ捨てる。
手も洗わずに向かう先はただ一つ。
そう、ピアノ室。
ガチャ、とドアを開けるとホコリの匂いがした。
おかまいなく入り、窓を開ける。
『・・・まずは、掃除からだよね！』
ピアノの上の楽譜をどけ、棚にしまう。
出しっぱなしだったトロフィーをきちんと飾る。
柔らかい布で、ピアノをふく。
その他もろもろを済ませて・・・
『よし、これでいいかな。』
うん、あの頃と同じピアノ室だ。
違うのはお母さんがいないことだけ。
『・・・なにか、弾こうかな。』
楽譜を持たずに椅子に座る。
弾きたい曲は一つしかなかった。
リスト、愛の夢。
この3年間一番聴きたくないと思っていた曲。
どうしても、お母さんを思い出してしまうから。
だけど、今日、気付いた。
ピアノを弾いて思い出すのはお母さんの死だけじゃない。
お母さんとの楽しかった思い出、幸せだった時間。
ピアノで思い出す。・・・そして、忘れない。
私にとってピアノとお母さんはいつもいっしょだ。
これからは、ちゃんと向き合っていく。
だから、1番お母さんを感じるこの曲で・・・
新しいスタートを切りたい。
鍵盤に指を置く。
この曲は楽譜じゃなく、指で覚えた。
お母さんが弾いている指を見て・・・
だから、そのまま。
鍵盤に指を滑らせる。
懐かしいこの曲。
私が1番好きな曲。
思ったより指が動く。
3年間、ほぼ弾いてこなかったのに。
それに手も少し大きくなった。
なにより・・・・楽しい。
心にぽっかり空いた穴が塞がっていく。
ピアノがないと、私は私じゃないのかも。
あと、このピアノに感謝しないといけない。
あんなにホコリだらけで放っておいたのに、
このピアノは私を受け入れてくれている気がする。
ありがとう・・・
あっという間に一曲弾き終わる。
・・・今日何回泣いてるんだろう。
やっぱりお母さんを思い出して少し泣いてしまった。
でも、今日で泣くのは最後にする。
窓の外の空に瞬く星を見ていると、
ちょっとだけ、
前が見えた気がした。
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おしお - それにあかりもですね・・・。あの美女2人の容姿めちゃめちゃ好きなんです・・・。 (2020年2月18日 22時) (
レス) id: 12731af34f (このIDを非表示/違反報告)
おしお - はい！ハニレモ大好きです！芹那ですよね笑「那」の部分だけ変えて他はまんまモデルにしました。不快に思わせてしまったならばすみません・・・ (2020年2月18日 21時) (レス) id: 12731af34f (このIDを非表示/違反報告)
あゆ - 急ですみません。 あの、八二一レモンソーダ読まれてますか？ (2019年11月9日 0時) (レス) id: d5865b86c6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：おしお | 作成日時：2018年10月9日 15時
