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ym side
とく、とく、...と心臓の音を聞きながら耳を傾けた。
『.....最初はただの暇つぶしだった』
『お前がいたら血も飲めるし、.....何も気にすることなくソッチの処理もできるって』
『でも、暫くして血が不味くなったって感じて。....今考えたら、薬漬けになるくらい体壊してたのにな』
『そして丁度お前がいなくなった時、いのちゃんの血吸って何とか凌いでたけど...全く美味しく感じなくて』
『伊野ちゃんにさ、抱いてよって言われたけど無理だった』
『.....入院してるって聞いた時は自分でも信じられないくらいに動揺して。バカみたいに走った』
『ここに初めて来た時。お前が嘘みたいに痩せてて、たくさんのチューブに繋がれて。
.....その時自分のやったことがやっとわかった』
ぐっ、と唇を噛み締めても壊れた涙腺は涙を零す。
『....そこに自分がいたらいけないような気がして。帰ろうと思ったら、待ってってお前の声が聞こえた』
ハッキリと記憶にあるあの時の夢。
すごく怖くて、苦しくて。
『.....すごい苦しそうで。初めて何とかしてやりたいって思った。それでたまたまあったハンカチを置いてった』
『それからは、どうやって会いに行けばいいかわかんなかった。今更.....。』
『大学でさ、お前と会った場所を通る度にすっげー胸が痛くてさ。
なんであの時苦しそうなお前を支えられなかった、少しでも待ってやらなかった.......って後悔ばっかが溢れて。』
『...蘇るのは泣いた顔ばっか。何度思い返しても笑った顔、見たこと無かった.....。
どうやって笑うんだろうって.....ずっと見たくて』
『自分がそうしたくせに.....、』
...もう、十分だよ。
それだけで、いいから。
俺は十分満たされたから。
「っ、.....もぅ、大丈夫だよ.....っ」
「.....だからそんなに泣かないでっ?」
腕から離れて、そっとハンカチで拭う。
手に落ちた涙はあたたかかった。
『.....今日、いのちゃんからお前の容態が急変したって騙されて確信した。
.....バカだよな。こんなことになってからしか気づけないとか』
拭っていた手を優しく掴まれて。
真っ直ぐ向けられた瞳は俺をしっかりと見て。
『.........好きだ』
たった一言の言葉が優しく俺を包み込んだ。
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ぶたのすけ(プロフ) - 花奏さん» ありがとうございます!私も言われて始めて気づきました.........!至らぬ点もあると思いますが、これからもよろしくお願い致します! (2020年2月3日 22時) (レス) id: 3bbe1d2ec0 (このIDを非表示/違反報告)
花奏(プロフ) - 赤星おめでとうございます!これからも応援させていただきます! (2020年2月3日 20時) (レス) id: ed1d1a00c3 (このIDを非表示/違反報告)
ぶたのすけ(プロフ) - かぷなさん» はじめまして!凄く嬉しいです、本当にありがとうございます! (2020年1月22日 7時) (レス) id: 3bbe1d2ec0 (このIDを非表示/違反報告)
かぷな - はじめまして!有岡くんのキャラ、今まで読んだ小説の中で一番好きでした。すごく文章構成も上手で尊敬してます!これからも頑張ってください! (2020年1月22日 6時) (レス) id: 5f37aa5d10 (このIDを非表示/違反報告)
ぶたのすけ(プロフ) - 花奏さん» 花奏様、コメントありがとうございます!そう言っていただけて何よりです!応援本当にありがとうございます。 (2020年1月15日 19時) (レス) id: 3bbe1d2ec0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぶたのすけ | 作成日時:2019年12月18日 19時