恐怖も忘れて、踊りましょ？ (ページ4)

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僕らのミライ、君のユメ【キューブ】ページ4

僕の名前はアイン。自宅を警備してたりするよな、単なるゲーム実況者兼開発者。収入はそこそこあるし、こないだ日本で僕と実況者仲間をモチーフにしたコラボカフェと漫画が出たくらいには人気だよ。そんな僕は、ただいま友人と開発中のゲームの制作風景を生配信中。

「……あー、これで表示させると見切れるな……コード書き直すのめんどいし、マルにイラストサイズ変えて描きなおしてもらうか……」

配信画面には応援コメントやただの賑やかし、アドバイスが次々現れては消えていく。
そんな時、横に置いていた僕のスマホが震えた。親友であり、作曲担当のクランくんからの電話だ。最近はネット動画だけじゃなくて普通に作曲のお仕事もあるらしいけど、何かあったんだろうか。

「……もしもーし。今配信中なんだけど、どしたの？」

「えと、えと、あっと、なんか、すっごいことになった……」

そう言ったクランくんの呼吸は荒く、尋常ではないことが起こっているとはっきり分かった。

「え？ちょ、どうしたの？何があったか一個一個教えてくれる？」

「あ、うん……」

スマホから深呼吸の音が聞こえ、ゆっくりと言葉が紡がれていく。

「……あのさ、俺がエスカ社のRPGのBGM担当になった、って話したっけ」

「うん、それは聞いたよ」

「それで、主題歌も作ってくれって言われてさ、歌手誰が良いって聞かれたから、メレディス・モルガン・マーヴィンみたいな声の人がいいって言ったら、そしたら……」

……オチが手に取るようにわかるぞ。

「……ほんとにメレディスしオファーしてくれて、さっき本人と曲について相談してきた……」

「やっぱり？」

「やっぱりってなんだよ！俺みたいなのの曲なんて、メレディスの声と一緒に流したらただの雑音にしかならないのに……なのに……俺の曲、褒めてくれて……いいのかな、って……」

クランくんって、大好きな歌手の話になるとほんとーにめんどくさい。

「いいんじゃない？だって、メレディスに自分の曲で歌ってもらえるような作曲家になりたかったんでしょ？」

「……でも、こんなに早く夢が叶うとは思ってなくて……俺、これからどうすればいい？」

「じゃあもう作曲やめてみる？」

それはやだ、ときっぱり返事が返ってきた。

「つまりはそういうことなんじゃないかな。メレディスの歌声はクランクハイトの曲で一層引き立つ、ってくらいになればいい」

「……そうか」

ありがとう、と声がして、そこで電話は切れた。

……そういや締め切りについて話してないや。まあいっか。幸せそうだったし。