淡やかな距離 10/6↓ ページ8
.
side daiki
.
「……ちょっと。いつまでそうしてるの？」
仕事終わり、業務終了の札が出ている秘書課の窓口の丸いすでカウンターテーブルに肘をつき顎をのっけて、何となくぶー垂れてる俺。
そんな俺を呆れ顔で見ている彼女が溜息をつきながら、タブレットとパソコンの電源を落とした。
「だから言ったじゃん。あの二人、もうすぐ付き合うだろうって囁かれてるって」
“あの二人”って言うのは、もちろん、涼介と涼介お気に入りの秘書課の子。
「山田は、彼女が出来たからって有岡との付き合い自粛する様なタイプじゃないでしょ…。」
わかってるよ。涼介はそんな男じゃない。
ちゃんと友達で同僚の俺にだって優しくて、仕事もいっぱい助けてくれるし、イケメンなんだよ。
だからさ…別にそこはいいの、俺は。
「だからさ！俺達も映画！行こうよ、ね？」
「…何でそうなるのよ。」
「だって、ずるいじゃん！涼介は行ったのにー！」
「そこの並列の意味がわかんない。何、私は山田の穴埋めって事？」
「違うよ！そうじゃなくてさ…」
俺達以外誰も居ない秘書課の中で、口を尖らせる俺と呆れる彼女。
全く…と全て片付け、自分の鞄を手に取った。
「もう帰るよ、仕事終わったんだし。」
「むー…。」
パチンと照明を落とすと、俺にもう部屋を出ろと言わんばかりに、小首を傾げる。
あーあ…結局約束取り付けられなかったな…
『うまくいったら、ダブルデートしようぜ。彼女が4人で遊びたいって言っててさ…』
涼介、ごめん。
俺はやっぱダメかも…
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 177人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：mee
作成日時：2017年7月5日 11時
