言葉の紡ぎ方 (ページ7)

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「今日もお疲れ様でした〜！」

「「かんぱーい」」

毎週金曜日の習慣。

それは俺の家でごはんを食べること。

大学生になって一人暮らしを始めてからこの習慣が始まった。
約束をしたとかではなく、なんとなく「ごはん食べよう」から始まって今まで続いてしまっている。

「Aちゃん、今日大変やったん？」

1つ変わったことと言えば、3人になったことだ。

鍋をよそってくれるのは、望。
俺の父方の従兄弟で大学3年生。
俺とAは母方の親戚だから、Aと望に血縁関係はない。

「大変だったというか、びっくりしたかな」

「びっくり」

「てか、どうしてのんちゃんが知ってるの？」

「流星から連絡来てん。お嬢の顔がやばいって」

ギロリと俺を睨むA。
望に「誰にも言うなよ」とか「内緒やで」は通用しないらしい。

「そもそも、なんでAちゃんはシゲオカのこと嫌いなん？」

言い慣れてない固有名詞。
昼に送った名前を頭に思い浮かべながら言ってるんやろうな。

「嫌いではないよ」

「あ、そうなん？」

「苦手なだけ、それにもうずっと会ってなかったから話し方も忘れちゃったんだ」

「ふーん」

なんとなく沈黙ができ、鍋のぐつぐつという音が響く。
話題を変えなきゃと思ったのか、明るい声でAが話し始めた。

「のんちゃんみたいな可愛い子がいたら出社も楽しくなるのにな〜」

「ほなAちゃんの会社に入社しようかな！」

「望が新入社員で入ってきたら絶対佐々木さんの餌食やな」

「分かる。もう重岡のこと大毅さんって呼んでたし」

嫌いやわ〜と言いながらガンガン酒を飲む。

いつも以上にハイペースで飲んだAが普段より早く眠ってしまったのは言うまでもない。