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☀︎

「何してんの」


襖からこちらを覗き込むのは流星。

「重岡のYシャツとスーツ、濡れてから洗ってアイロンかけてたの」

「ふーん」

あまり興味無さそうな返事をすると、そのまま隣に座る。

「最近のスーツって洗濯機で洗えるんだね、のんちゃんも社会人になったらこういうの着れば楽そう」

「背高いから、望。こういうのあんまサイズないんちゃうかな」

「可哀想に。長所も時に不便だね」

かけ終わったYシャツにシワがないことを確認していると流星の手が前髪に触れる。

「ごみ付いてた?」

「前髪伸びたなって」

「あー、最近切ってないから」

「隣からだと結構分かる」

なんとなく、話す時の癖で横を向くとすぐ目の前に流星の顔があって、思わず固まってしまった。

目を逸らすタイミングを見失う。

きっと、さっき見た重岡とのんちゃんの光景と同じ。

「流星、」

「ん?」

そのまま顔が近づき、鼻先が軽く触れた瞬間


「Aちゃーん、お皿終わったよー」


廊下からのんちゃんの声と、2人分の足音。


「ハンガー取ってくる」


なんてことない顔して立ち上がり私の頭を撫でて部屋を出て行く流星。


今のは何?


今までにない距離感に頬が熱くなっていく。


「A?どないしたん?」

「へ?」

正面に座ってじっと顔を見てくる重岡。

「顔赤いで?」

「ほんまや、熱?」

のんちゃんの手の甲が頬に触れる。

ひんやりして気持ちいい。

「日光が当たってて、さっきまで。暑くなったみたい」

「ほんまに?」

「嘘なんてつかないよ」

今度から「嘘なんてつかない」って言う人間、みんな嘘ついてると思おう。

「心配やしそろそろ帰ろっか、Aちゃんは明日から仕事やし」

「俺もなんやけど」

食器洗いで更に仲良くなった様子の2人を見ながらも、頭の中ではずっとさっきのことを思い出していた。



今までこんなことなかったのに、

流星、どうして?

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作者名:浅葱 | 作成日時:2021年11月4日 20時

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