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☆
「しーげー」
名前が聞こえ目を開けると目の前には小瀧の顔。
「起きた？おはようのチューでもしよか？」
「…近いねんけど」
どちらかが少しでも動けば唇が触れそうな距離感。
朝から何してんねん、こいつ。
「…朝から何してるの」
目だけ横に動かすとかなり引いた顔をしたAと真顔の流星が覗いているのが見える。
「ちゃうねん！小瀧が！」
「朝ごはん用意してるから顔洗ってきて」
素っ気なくそれだけ言うと立ち去ってしまった。
「お前のせいやぞ！」
「俺はAちゃんにしげ起こしてきてって頼まれただけやし。起きないのが悪いんやろ」
昨日よりも呼び慣れたらしく、たどたどしさがない。
おまけに悪びれる様子もない。
とりあえず引っ付いてくる小瀧を退けて顔を洗いに洗面台へ向かう。
身なりを整えて部屋に戻ると、机には大皿に盛られたおにぎり、卵焼き、焼き魚、お味噌汁が並んでいた。
「…すげぇ」
朝からこんなしっかりしたごはんを見るのはいつぶりだろう。
「嫌いなのあったら食べなくていいよ」
「全部食います」
「そう？」
もしAと結婚したらこんな感じで過ごせるのだろうかとぼんやり考える。
「A、どれがどの中身？」
「んー、これが梅かな？」
目の前に並んで座るAと流星を見たらそんな考えも消えたけど。
むちゃくちゃお似合いで、恋人同士に間違えられるのも無理はない。
そもそもちゃんと聞いてへんから付き合ってない確証もないんよな。
普通に距離感近いし、じーちゃんばーちゃんの家って言っても流星は他人なのに入れてるし。
もはや、親族公認？
「重岡？」
「へ？」
「ごめん、美味しくなかった？」
「そんなことあらへん！美味い！」
「あの、本当に無理しなくていいからね」
またやってしまった。
ふとした時に困らせ顔をさせてしまう。
「しげ、これ食ったら俺と食器洗いね」
ポンと肩に手を置く小瀧。
「のんちゃん、本当に重岡のこと気に入ってるんだね」
「流星、よく皿に泡ついたまま渡してくるからさ。今日はチェンジで」
目が合うと軽くウィンクされる。
ほんまになんやねん、こいつ。
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作者名：浅葱 | 作成日時：2021年11月4日 20時
