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☀︎
「今日はご馳走さまでした」
「魚、美味かったか?」
「すっごく!」
「よかった、よかった」
にこにこと嬉しそうな桐山さん。
“俺が良いって言うたら全部受け入れとけ!”
そう言われてから、何かをされてもあまり遠慮はせず受け入れることにした。
遠慮したりすると逆に失礼というか、桐山さんはそれを好まないから。
他の人にはできないけどね。
「二次会行かれる方〜!」
佐々木さんの呼びかけに大半が手を挙げる。
「Aは?」
「私は帰ります、明日の朝に宅配便届くので」
「俺は映画観に行くんで帰ります」
「ほな、また月曜な!」
お疲れ様でした〜と呼びかけ、流星と駅へ向かう。
「のんちゃんにこれから帰るよって連絡しとく」
メッセージを送ると即既読が付いて、スタンプが返ってきた。
ひとりで寂しかったのかな。
「そういえば、望がインターン受けるらしい」
「へ〜、偉いね。ちゃんと就活始めてるんだ」
「俺らとは大違いやな」
そんな話をしながら、もうすぐ駅に着くという時
「A!!」
振り返ると少し向こうから重岡が走ってきてるのが見えた。
やっと追いついた、と息を切らせ右手を出してくる。
「これ、忘れ物、」
渡されたのは腕時計。
「あ…」
ごはん食べる時に邪魔だから外してそのまま忘れたんだ。
「ごめん、わざわざ…」
「ううん、俺が届けたかってん」
それに、と続けて
「Aのためならどこまでも走っていくで」
流星が隣にいるのに、これはわざとだ。
「あと、ごめんより聞きたいのがあるんやけど」
トントンと自分の唇を指で叩く。
口の動きを声に出して、という合図。
答えは5文字。
「ありがとう」
「どういたしまして」
じゃ、また。と手を振って元来た道を戻っていく。
「かっこええな」
「言ってあげれば?」
「機会があればな」
もう遠くに見える重岡。
流星と同じことを思ったのは、明日には忘れよう。
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作者名:浅葱 | 作成日時:2021年11月4日 20時