検索窓
今日:6 hit、昨日:1 hit、合計:9,959 hit

13 ページ13

☀︎

「今日はご馳走さまでした」

「魚、美味かったか?」

「すっごく!」

「よかった、よかった」

にこにこと嬉しそうな桐山さん。

“俺が良いって言うたら全部受け入れとけ!”

そう言われてから、何かをされてもあまり遠慮はせず受け入れることにした。
遠慮したりすると逆に失礼というか、桐山さんはそれを好まないから。
他の人にはできないけどね。


「二次会行かれる方〜!」

佐々木さんの呼びかけに大半が手を挙げる。

「Aは?」

「私は帰ります、明日の朝に宅配便届くので」

「俺は映画観に行くんで帰ります」

「ほな、また月曜な!」


お疲れ様でした〜と呼びかけ、流星と駅へ向かう。


「のんちゃんにこれから帰るよって連絡しとく」

メッセージを送ると即既読が付いて、スタンプが返ってきた。
ひとりで寂しかったのかな。

「そういえば、望がインターン受けるらしい」

「へ〜、偉いね。ちゃんと就活始めてるんだ」

「俺らとは大違いやな」

そんな話をしながら、もうすぐ駅に着くという時



「A!!」



振り返ると少し向こうから重岡が走ってきてるのが見えた。

やっと追いついた、と息を切らせ右手を出してくる。

「これ、忘れ物、」

渡されたのは腕時計。

「あ…」

ごはん食べる時に邪魔だから外してそのまま忘れたんだ。

「ごめん、わざわざ…」

「ううん、俺が届けたかってん」

それに、と続けて

「Aのためならどこまでも走っていくで」

流星が隣にいるのに、これはわざとだ。


「あと、ごめんより聞きたいのがあるんやけど」

トントンと自分の唇を指で叩く。
口の動きを声に出して、という合図。

答えは5文字。

「ありがとう」

「どういたしまして」


じゃ、また。と手を振って元来た道を戻っていく。

「かっこええな」

「言ってあげれば?」

「機会があればな」

もう遠くに見える重岡。
流星と同じことを思ったのは、明日には忘れよう。

14→←12



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.2/10 (29 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
95人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:浅葱 | 作成日時:2021年11月4日 20時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。