Level 23 ページ25
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「サッチさん、どうしよ。イゾウさんが壊れた」
「イゾウが?」
酒瓶片手にイゾウさんをマジマジと見るサッチさん。
「別に変じゃねーぞ」
「いや、変だよ。あんだけ俺のこと警戒しといて、急に育てるとか言ってよ」
俺がそう言えば、クククッと笑いを噛み殺す声がした。
振り向くと、すぐ近くでマルコさんが酒樽に腰掛けてる。
「おい、イゾウ。ようやく末っ子が可愛く見えて来たかよい」
「は?飲み過ぎじゃねーの?水いるか?」
「いらねーよい」
「マルコ、ふざけた事言うな」
イゾウさんが不機嫌そうに言えば、マルコさんとサッチさんで顔を見合わせて、笑い出す。
「なあ、おい、ちょっと」
理解できず、咎めるようにマルコさん、サッチさん、イゾウさんに順々に視線を配るが、誰も目を合わせてくれない。
「良い家族持ってんじゃねーか、A」
一部始終を見てたであろうヤソップさんがジョッキを一気飲みして豪快に笑う。
「そうだA。オヤジが呼んでたよい」
「白ひげのじいさんが?わかった」
首を捻りつつ、近くのテーブルに置かれた酒を取って、甲板の中央に向かう。
ナースたちに囲まれて、ドッシリと大男が座っていた。
「おう、A。飲んでるか?」
「だから俺は飲まねーっての。ほら、向こうから酒の追加持ってきた」
「グララララ・・・・・・気が利くなァ」
ナースさんの制止も聞かず、白ひげのじいさんは酒をぐいっと呷る。
「どうだ、船には慣れたか」
「・・・・・・ああ。衣食住に仕事まである。良い奴が多いし、退屈しないよ」
「なら良かった・・・・・・それに、お前の目は本当に澄んでるな」
何だ?また目の話か?
この船ってそんな濁った目の人ばっかだったっけ。
「お前は海賊には向かねーな」
グララララと笑う白ひげのじいさんを見る。
何て言葉を返したらいいかわからない。
「えーっと。うん、まあ、そりゃね」
適当に言葉を濁しつつ、たしかに俺は海賊には向いてないなと思った。
不意に両親を思い出す。
「俺の両親は正義背負って生きてたんだ。だから、やっぱり道を外れるのは・・・・・・たぶん無理」
俺の両親は警察官だった。
だから俺が法を犯すなんてのは論外で、交通ルールですら破ったことがない。
ただこの時代に警察なんてワードが通じるか不安で言葉を濁す。
それがちょっとばかし問題だったみたいで、なんか視線が集まった。
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り - おおおおお更新だびっくりした (11月25日 22時) (レス) @page39 id: d4ef9d6783 (このIDを非表示/違反報告)
ぶどう - yuiさん» キャラクターやら文才やら、沢山の褒め言葉、大変恐縮です・・・応援ありがとうございます! (8月2日 21時) (レス) id: 496ebaee13 (このIDを非表示/違反報告)
ぶどう - 北岳さん» ありがとうございます!頑張ります! (8月2日 21時) (レス) @page35 id: 496ebaee13 (このIDを非表示/違反報告)
yui(プロフ) - 導入が天才的すぎる……!! こんな文才と語彙力が欲しかった! ツンデレ味と天然味のある夢主くんかっこ可愛いです!! 作者様のペースで、更新頑張ってください! 応援しております! (8月2日 19時) (レス) id: 02206b89b3 (このIDを非表示/違反報告)
北岳 - とっても面白いです!!更新まってます!! (7月31日 18時) (レス) @page36 id: daf41a73a3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぶどう | 作成日時:2022年7月20日 16時