嫌 ページ37
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あの人から逃げようと、必死で走るも走音はどんどん追いついてきて、パシッと腕を掴まれた。
「おいっAだろ？なんで逃げんの？」
腕を掴まれてあの人にそう問われるも、顔を見ないように俯く。
ああダメだ、早く逃げたい。
「顔上げろよ。髪切ってるけど…Aだろ？なあ、なんか言えって。」
名前を呼ばれる度に反応してしまう。
会いたくなかったよ、あなたと。
「……どうしているの？マキト」
声を震わせながらマキトに聞く。
MT「言うから、顔上げてよ。」
「……」
ゆっくりと、マキトの顔を見上げる。
ああ、やっぱりあなただ。
私を今でも苦しめる人。
ダメじゃん、メンヘラじゃん…
マキトは私をじっと見ていて、目が離せない。
まだ私は好きなのかな？
顔を見ると、顔が熱くなる。
MT「…よかった、久しぶりだな。A」
どうして、微笑んでくるの？
どうして、名前を呼んでくれるの？
どうして、優しく話しかけに来るの？
もうダメだ、私は。
この人から離れられないんだ。
誰か、ここから救ってよ。
一瞬、ジミンさんの顔がよぎる。
ジミンさん、やっぱり私はこの人から抜け出せません。
ごめんなさい。
助けてください。
MT「なんだよ笑なんでそんな顔してんの？…あ、気まずいのか？別れてから会ってなかったし、もう一切連絡とかもしてないしな笑」
「手、離して…」
MT「あ、ごめんごめん。……なんか、垢抜けたなお前。色っぽくなったと言うか…」
その瞬間、私の頬を優しく触れにくる。
バッとマキトの手から離れて、その場からも離れる。
「…彼女いるんじゃないの？」
そうだよ、マキトは好きな人ができて私と別れたんだ。
私に軽々しく触れているのもおかしい。
MT「ああ…別れたよ。」
「え…？」
MT「別れたんだ。色々あって。やっぱり俺はお前が好きだ。ごめん、傷つけたことをして。
もう一度、やり直さない？」
「なに…言って、、」
やり直す？
どうして？
もう好きじゃなかったの？
復縁しても、あなたはもう私を捨てないの？
どうして私を見捨てたのに、また付き合いたいって簡単に言うの？
まっすぐとマキトは私を見つめていて、近づいてくる。
目が離せなくて、足も動けない。
誰か、助けて…！
マキトが、私の髪に触れようとした瞬間、
「あれ？ヌナじゃん」
後ろから、聞き覚えのある声が聞こえる。
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作者名：M.R | 作成日時：2020年4月5日 2時
