スーパースターと恋。 (ページ3)

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ヒチョル先輩3　-　HC ページ3

この間3年以上好きだった人に振られ、直後学校一イケメンの先輩に告白され付き合いはじめた私。
この話だけを聞けば、どんだけ乗り換え速いんだよと罵倒されそうだけど、
本当はそれはそれは濃くて壮大な話がある。

そう、ヒチョル先輩がとても強引だったという話が。

あれから私にいきなりキスした先輩は、「…今日からお前、俺の彼女な」と言い、
私を彼女と言ったわりには呆然としている私を待たず帰宅した。
そして訳もわからず翌日を迎えた私の耳に飛び込んできたのは、

「あのキムヒチョルが一年の女子と付き合い始めた」

という、"らしい"という語尾さえ抜けた噂だった。
数時間後、その「一年の女子」が「イA」と特定され、クラスの女子の集中砲火にあった。
誰を恨めばいいかと言えば、たった一人。キムヒチョル。

放課後部室に行けば、やっぱりソファでくつろいでいる先輩が。

「随分と早いんですね、先輩」

「おー」

「ちょっとお話があるんですが」

「おー」

手元の雑誌を見ながら、明らかに話を聞いてない返事をする先輩。
まだ部室には先輩と私しかいないので、言いたいことがハッキリと言えそうだ。

「話聞いてください」

「おー」

「ちょっと」

「おー」

先輩の前に回り雑誌を奪い取れば、大きな瞳を真ん丸くさせる。
だがすぐに少し冷たい顔になり、一言言われた。

「なに。そんな構って欲しいの？」

「ちがっ」

「話聞いてるって。返事してただろ」

ぱっと私の手から雑誌を取り返すと、一人で陣取っていたソファに一人分の間を空ける。
そして有無を言わさず私を引っ張ってそこへはめ込んだ。

「あの噂は虫除け。別に隠すことでもないだろ？」

「だから、って……私まだ認めてないんですけど！」

「いいじゃん、どうせ俺に惚れるし」

雑誌を捲りながらそう言った先輩は、さも当たり前の顔をしている。
どこにそんな自信があるのか。
もはや彼だからこそ言えるセリフなのだろう。

先輩は「俺以外の男は近づけさせねぇし」と不敵に笑い、また私の頭をぐしゃぐしゃと撫でた。