剥奪 ページ32
side無し
イクミの目が覚めないまま、ひと月が経った...
薬室と同等の設備があった部屋も、機材が撤去され元に戻った
外部からの刺激に対し反応があり、自発呼吸が出来ている事で、脳死ではないと
判断された時は、皆で泣いて喜んだ
それからふた月が経った...
脳死ではないのに目覚めない事に、城の中には諦める者も出てきた
それでも、諦めず毎日話しかける者がいた
オ 「イクミ嬢おはよう♪朝だよ 起きて」
オビの声に答える者は居ない...
オ 「もう三ヶ月も眠りっぱなしだよ？いくら何でも、寝過ぎじゃないかい？」
オビは眉を下げイクミを見つめていた
ｺﾝｺﾝｺﾝ
ゼ 「入るぞ...イクミはまだ起きないか...」
オ 「寝坊助にも程がありますよねぇ」
ゼ 「ほんとにな...早く起きろよ イクミ」
ゼンはイクミの頭を撫でた
ｺﾝｺﾝｺﾝ
ミ 「ゼン、オビ、イザナ様がお呼びだ」
ミツヒデの言葉に、二人は目を合わせ首を傾げた
ゼ 「兄上！ゼンです」
”入れ” との声が聞こえ、ゼンはオビと共に入室した
イ 「来たか..イクミはどうだ？変わらずか？」
ゼ 「はい、まだ目覚めません」
イ 「そうか...ならば仕方ないな
臣下の中から、イクミの王女としての立場を剥奪すべきとの声が挙がってな...」
ゼ 「なっ！どう言う事ですか？！イクミは養子に迎え入れ、王女として生きる事になったから
この城に居られるんですよね？！剥奪なんてしたらっ...」
イ 「そうだ。この城に居る事が出来なくなる...
目覚める見込みがないと、判断したのだろう。仮に目覚めても障害が残ればなおの事
王女としての役目を果たせないと考えているんだろう」
ゼンとオビは手を強く握り締め、悔しそうにしていた
イ 「先日陛下と話しあったんだが...今後も王女として立ち続ければ、また狙われる事も
あるだろう。だから王女としての地位を無くそうかと言う話しになった...」
ゼ 「っ！それはっ！イクミをこの城から追い出すと言うことですか！！」
オビは怒りを隠さず、イザナを見つめていた
イ 「まだ決定ではない、決断は目が覚めてからだ。 最終手段 だな...
オビ...覚悟をしておけ」
オビの目を真っ直ぐ見つめ言った
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作者名：193 | 作成日時：2023年5月2日 17時
