信じる ページ30
side無し
オビとリュウが部屋に着くと、イクミは弱いながらも呼吸をしていた
白 「リュウ！無事ですか？！」
リ 「俺は大丈夫。それより王女の薬出来たからすぐに投与しよう」
師弟関係にある二人を、ゼン達が見守っているとガラクも到着した
ガ 「リュウ 投与は終わった？」
ガラクにリュウは頷いたが、薬剤師三人の空気が重いことに気付いたオビが口を開いた
オ 「何か問題でもあるんですか？」
ガ 「...ゼン殿下、心臓マッサージは体感でどれくらい要しましたか？」
なぜそんな事を？とでも言いたそうにしながらも
ゼ 「？そうだな...５分はかからんかったと思うが...それがどうした？」
ガ 「本来、心停止から２分以内であれば大体問題ないと言われています。
５分経過すれば生存率は２５％...それ以上だと助からない事がほとんどです」
ガラクの言葉に全員が息を飲んだ
ガ 「今回、私からイザナ殿下 そしてゼン殿下...３人がかりでした。時間的に見ても
蘇生した事は、奇跡に近いです」
ゼ 「ならば喜ばしいのでは？」
奇跡だと本来なら喜ぶ所を、ガラクの表情は固い...嫌な予感にゼンの顔も強張る
ガ 「心臓が止まっている間は血液が流れない。故に脳へのダメージを懸念しなければ
なりません...昏睡状態が続き最悪の場合、植物状態になる事も考えられます...
目が覚めても、障害が残る可能性も捨てきれません」
全員 「っっなっ！」
白雪とリュウは涙を溜め下を向き、その他は目を見開き驚いていた
これから起こりうる残酷な可能性に、誰もが拳を握った
ガ 「あくまで可能性の話です。王女は今までも奇跡を起こしてきた。
今回もそうであると信じましょう...」
ガラクはそう言い残し、イザナの元へ報告に向かった
重苦しい空気の中オビは ”俺も行ってきます” と出ていった
キ 「薬室長の言葉 オビには相当堪えるね」
キキは心配そうにオビの出ていった方を見て言った
ゼ 「そうだな..イクミが目覚めないかもしれないなんて...ｸｿｯ」
拳を握った手に、白雪の手が重なった
白 「ゼン 私は信じるよ！イクミは大丈夫だって！」
白雪の力強い眼差しに、ゼンは力を抜き
ゼ 「そうだな」
と笑った
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作者名：193 | 作成日時：2023年5月2日 17時
