閃光花火【爆豪勝己】【超短編】 (ページ5)

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次の日、学校でAに会うと、突然、

「昨日のこと、みんなには言わないで。」

そう、いつもの無表情で言われた。

俺が頷くと、

「ありがとう」

と言って、今度ははっきりと、確かに笑った。

初めて見たAの笑顔は、美しかった。

俺らしくもねぇけど、Aの放つ不思議な空気感が、その時すでに俺は好きだった。

その日の夜も、なんとなくAがいる気がして寮の倉庫に行ってみた。

運の良いことに、本当にAは居て、昨日のように歌を歌っていた。

「また来てくれたんだ」

「…通りがかっただけだ、バーカ」

Aは相変わらず俺の言葉を気にも留めない様子で、歌い始めた。

何も言われなかったので、俺は最後まで聞いていた。

全部昨日と違う曲だった。
綺麗なのは変わってなかった。

その日の帰りは、すこし話をした。

「深見、いっつもここで歌ってんのか？」

「ううん、毎日じゃない。
ときどき、気が向いたとき。」

「…歌、上手いのな」

俺が珍しく言えた、素直な感想だった。

Aは笑った。

「ありがとう。
…個性が、歌に関係してる。
だから、ずっと前から練習してるんだよ」

それからは、Aの個性の話をした。
単純に気になってたし、それが話す機会になることが嬉しかった。

Aの歌は、体の傷も心の傷も、癒すことができ、音波を発して攻撃もできるのだと、同じクラスなのに今日初めて知った。